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【読書感想】「一流の育て方」 ムーギー・キム、ミセスパンプキン

読了日:2017/5/1

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「BOOK」データベースより

タイトルについて

「一流の育て方」っていうタイトルにそそられず、全然買う気になれなかったのですが、本屋で立ち読みしてみたら読みやすかったし面白かったので購入。

この「一流の育て方」というタイトル、確かにインパクトはあるけど、好きじゃないなぁ。
「一流」という表現は、たしかによく聞くけど、どうしてもこの表現にシニカルな雰囲気を感じてしまう。
「一流って一流大学をでたら人間性に問題があっても一流なの?出身大学とか関係ないでしょ?!何をもって一流?」
みたいな突っ込みがくることも容易に想像できるじゃないですか。

庶民にとって「一流」や「海外勤務」というのは、格差を直に感じる敏感ワードなんだと思うのです。自分も含めて。庶民の卑屈魂が無駄に刺激されるといいますか…。
「一流」という言葉への嫌悪感から手に取るのをためらう人も多そう。
まぁ、無難なタイトルにして売れないと、元も子もないので、さじ加減難しいですけど。

この本の概要

タイトルは私にとってはビミョーですが、内容はいい意味でとっても普通。

この本の「一流」を突き詰めると、
「学歴や知能問わず、社会に出て幸福感を感じて生きていける」
ということに尽きるのかな、と思います。
それができれば一流の生き方だし、そんな子供に育てられれば一流の育て方ができたと言えるのでしょう。その点は共感。

作者は、ムーギーキムという世界で活躍している経営コンサルタントと、ムーギーキムのお母さんであるミセスパンプキン。どちらも東洋経済オンラインで連載を持っています。
ミセスパンプキンの子供はムーギーキムも含めて4人いるんだけど、4人全員が海外で働くゴールドカラー。すごすぎ!

各章は、以下の構成でまとめられています。
・ムーギーキムのポイント要約
・一流大学の学生たちに聞いた親の育て方に関するアンケート
・子育て経験者ミセスパンプキンの育児法と反省文

残念なのは、「一流の育て方」の「一流」が「社会で幸福感を持って生きてる人」と定義しているのなら、アンケート対象者の職種、経歴、出身大学、学歴をもっと多様にしてアンケートをとってほしかった、という点です。

この本のアンケート対象者は、東大・京大・早慶など一流大学の学生のみ。
アンケート対象者を一流大学の大学生に限定してしまうと、「一流」の定義をどれだけ感じよく表現しても、結局のところ「一流大学への入れ方」みたいにとられてしまいます。
それってもったいないな、と思いました。

特性を見極めて優先度をつける

でも、そういう気になるポイントはいくつかあるものの、それでも、私はとってもいい本だと思いました。

最初にちゃんと
「ここにあげられてる項目すべてを頑張るのではなく、子の特性を見極めて優先度をつけること」
と言っていて、それが誠実だなぁと。

実際、同じように育てても兄弟で性格は全然違うし、同じノウハウも兄には通じて弟には通じないこともザラにあります。だから、その子供にあう項目を見極めねばならないのだと思います。
(と、理屈ではわかっていても、どうしても自分が今持っていて、つい最近まで使っていた既存の物差しをそのまま使いたくなってしまうんですけど…。)

世の親たちは、数多ある育児ノウハウを全部優先度高でやろうと頑張ります。
だから親がしんどくなる。
親は、全部やらないと親としてのつとめを果たしてないと思ってしまうんです。特に母親は。
結果、子供をうむことのハードルが高くなるし、子育てのハードルも高くなってしまっている。
少しでも親として足りない点が見えると、芸能人だけでなく一般人でも批判されますから。

たくさんの親としてのポイントがまとめられてて、「親の教科書」として最適だと思います。
旦那にもこれを読ませて、上の子、下の子それぞれに対して、
親の我々ができている項目はなにか、
今後注力せねばならない項目はなにか、
捨てていい項目はなにかをすり合わせしたいなーと思いました。

こういうの読むと、自分は悪い親ではないとは思うものの、子のポテンシャルを最大限高めるような努力はできていないな、と考えさせられました。
家ではダラダラしてるし、しつけのルールも少ないし、勉強やスポーツも、ポテンシャルは感じるけどこちらから必要以上にアクションかけてもいない…。
(と、「優先度をつければいいんだ」ということを学んだそばから、全部できていないことに凹んでしまう愚かな私ww)

人に迷惑をかけるな → 人の役にたつ人間に

個人的にすごくいいな、と思ったのが、
「人に迷惑をかけるな、ではなく、人の役に立つ人間になれ、と伝える」
ってのはすごくはまった表現でした。

「人に迷惑かけるな」って行動を萎縮させる言い方だけど、「役に立つ」は自分発信ですごく前向きな表現。
すぐに使えるし、これは自分のなかに取り込もうと思いました。

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