IF 第10節 「最後のヒト」


落ち着かないまま夜を迎えた。

こんなに森には生き物がいたのか。
そう思わされた。
どこか歓迎されないムードだった。
少し怖気ずく。

僕は広く開けた森の野原の真ん中で
無数の生き物に囲まれた。
小さいのから大きいのまで。

彼女が話し始めた。
静寂が森を包んだ。
森が固唾を飲んで見守った。

―――――――――――――――――――――――――――

そこからの記憶はあまりない。
感情はぐちゃぐちゃになった。

僕は彼らが大好きだ。
人間じゃないから彼らが大好きだ。
彼らと仲良くやってきた。
仲良くやってきた、確信があった。

だって僕は小さい頃からずっと山奥で暮らしてた。
だって僕は。
僕は。

その日が山奥で過ごした最後の日だった。


サポートして下さったら、みんなで笑います。