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今井絵理子氏発言とされることへのファクトチェック記事、比較と現実

3月29日、同じ話題を取り上げたファクトチェック記事が異なるファクトチェック団体からそれぞれ出た。日本ファクトチェックセンター(以下JFC)とリトマスからだ。以下が記事である。

まず最初に断っておくが、私はリトマスのメンバーである。このnoteは個人の立場での所感であり、所属する団体を代表する意見ではない。身びいきはしない。ご了承願いたい。

ふたつのファクトチェックの結果は異なる。JFCは「誤り」、リトマスは「根拠不十分」だ。なぜこの差が出たのか。JFCとリトマスの記事を読み比べていただきたい。どのような差が見つかっただろうか。

まず、共通する事実として「今井絵理子氏のInstagramは削除・閉鎖されている」ということがある。つまり、今井絵理子氏がInstagramの動画で「遊んでいて金が入ること」と言ったかどうか、ということについて、一次ソースがない状態だ。

一次ソースに準ずるものとして、ウェブページをそのまま保存するインターネットアーカイブの類(ウェブ魚拓archive.todayなど)にも残っていなかった。

残っているのは、問題の火種となった週刊女性PRIMEの記事、つまり二次ソースしかない。

他に探すと、Instagramの投稿を保存できるInstagrammer Newsに今井絵理子氏の動画が一部とはいえ残されていた。しかしこれも二次ソースにあたる。

スクリーンショットも見つかるには見つかったが、スクリーンショットである以上捏造されている可能性はゼロとは言えない。またこれも二次ソースである。

一次ソースが失われた状態で、ある判断をこれだと100%断ずることはファクトチェックにおいては十分注意が必要だ。一次ソースに当たることができなければ、それは100%そうであると言い切ることはできない。

今、残された手段としては、今井絵理子氏に直接取材し、問題の動画を入手し見せてもらう他ない。これでも「今井絵理子氏は発言していない」ことはわかるだろうが「一般人が書き込んだコメント」まで確認することは、今井絵理子氏のInstagramアカウントが削除されている以上、不可能だ。

このような状態で「誤り」と言い切る危うさをわかっていただけるだろうか。

ファクトチェックとは本来緻密にソースに当たって確認する、丹念な作業が必要となる。二次ソースだけ見て「こうだ」と言い切ることは、ファクトチェック記事としては甘いであろう。取材を怠るコタツ記事と大した違いはないと私は考える。

繰り返しになるが、これは個人の所感であり、何かの団体を代表する意見ではない。ご了承願いたい。


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