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猫の手のトラウマ。あの子にはある。

触れない猫だったけど、最近やっと触れるようになったサビ猫チャコさま。とにかく、ニンゲンの手を異常に怖がる。それは触れるようになった今でもそうだ。今は触れると言っても、場所と時間限定で、それ以外の場所と時間では相変わらず触れない猫のままである。そんな折、私はとあるページにたどり着いた。こちらだ。

うつ病、5月病、パニック障害、不眠症ときて、いずれも答えはネガティブである。続いてPTSD。これについてはなんとポジティブな答えとなっている。設問に答えているのは獣医師だ。きちんとした知識のもと、答えているであろうと推測できる。

そうだろうなぁ、そうだろうなぁと首肯しながら読み進めた。チャコさまを見る限り、PTSDとしか思えないような、そんな対応を見せるからだ。

ニンゲンの手が怖い。怖い。怖くて仕方がない。近寄ってくると怖いので怒る。フーシャー言う。爪出し猫パンチを見舞う。鋭い犬歯で噛み付く。

(余談だが、「猫パンチ」というのを「弱々しいパンチ」の形容詞で使う場合があるが、本物の猫パンチは弱々しいどころの騒ぎでない。超強力だ。なにせ家畜化される前、野生のヤマネコ時代には、このパンチで獲物を仕留めていたと思われる)

保護団体(保護猫カフェ)にやってきてからも、なかなかフロアに出てこようとしなかったチャコさま(店舗名サビちゃん)。「幻の猫」とまで言われていた。じゃれない。なつかない。なかなか里親さんへの縁が見つからない…そんな折に、連絡を入れたのが我が家だったようだ。

我が家は、どんな性格の猫であろうと受け止める覚悟はしていた。慣れてないです、とお聞きしても、猫だしそのうち馴れるだろうくらいに思っていた。甘かった、というのは前回書いた。

当時、保護団体さんとよく話していたのは、野良の母さんから、ニンゲン怖いのよ、とよーく教え込まれたのね…ということである。なにせ、子猫兄妹のうち、この子だけが最後まで捕獲できなかった。それだけ用心深かったのだそう。そして、家の中での飼育が始まっても、窓の外に執着しつづけ、猫じゃらしに一向に興味を持たなかったのもこの子だけだったと。

保護猫カフェに来てからは、やれ顔の手入れだ爪の手入れだとグルーミングをよくされる。保護猫カフェでそのようなことをやられるのも、彼女にとっては驚天動地だったろうし、また彼女は珍しいムシが腹の中に居たことから(マンソン裂頭条虫、画像検索はおすすめしない)そのほうの手当もあっただろう。

ニンゲンの手は怖いことをする。保護直後から今に至るまで、その思いはきっと変わっていない。今でも時に怖いことはする、爪も切らなければならないし、時にはキャリーに入ってもらうこともある。でもそれ以上に、ニンゲンの手はゴハンを持ってくる、オヤツを持ってくる、あんまり興味ないけど猫じゃらし振ってもくれる、そして最近ようやく覚えた、ニンゲンの手のなでなでの気持ち良さ。

保護猫カフェさんの紹介ページには「頭が良すぎて警戒中」とあったのは前回書いた。その頭の良さが手伝って、少しずつ、少しずつ、ニンゲンの手が怖くないと理解を進めている。

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上の写真は保護猫カフェに来たばかりのサビちゃん(右)とタヌちゃん(左)(写真提供:猫カフェmfmf)。元々この兄妹はシャムミックスなのだが、サビちゃんだけがサビ柄だった。その後タヌちゃんは早々に譲渡され「とろろちゃん」と名付けられて、Instagram、Twitter、YouTubeで活躍中。サビちゃんは後のチャコさまである。

この兄妹は野良兄妹だが、そこそこ育ってからの保護(2~3ヶ月程度、通常はもっと幼い時に保護されることが多い)であるのと、兄妹全員性格がビビリ系というのもあり、他の兄妹の子でも口が出る手が出るなど、いろいろ大変だったようだ。

先に書いた「マンソン裂頭条虫」であるが、これはヘビなどを食べているとお腹に付いてしまうムシなのだそうで。チャコさまヘビ食って凌いでいたのか…苦労多い猫生だっただろうなと思う。せめてうちに来てからは幸せを感じてくれていればいいのだが。

サポートしてくださると猫のゴハン代になり、猫じゃらしの素材代になります。趣旨に賛同できる方はお願いできれば幸いです。