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被害者面

私の得意なことは被害者面と自己完結。

君の得意なことはなんだっけ…。
何も思い出せないや。

「ずっと変わらないでいて」

君はあの夜、ガラス玉のような瞳で私のことを見つめていたね。後ろで上がる花火がなんだか滑稽で思い出すたびいつも面白いんだ。真面目な顔して、空虚な目をしてさ…

変わらないでと口ではいうけれど、もうすでにあの時そこに君はいなかったよ。あの頃は必死に君が私にしがみついて…いや違うね…私を通して君は君自身にしがみついていたんだね。もう君の瞳には私のかけらも残ってなかったの。

責めるつもりはないよ。

だって君が正しいんだよ。
いつだってどこにも馴染めない私と違って、馴染むことのできる君は正しくて。

それが正解なんだよ。
私と一緒に底まで落ちていく必要はない。

ほら、また私は君に捨てられたみたいな被害者面。正解なんてこの世界には存在しないってこと私がよく知ってる。

雷が鳴り止まない。私の鼓動はずっと早いまま。

いつだって君の光には追いつくことができなかった私をどうか許して。大好きだったよ心から。

あの花火の夜に君のことを笑って抱きしめてあげたら今は変わっていたのかな。これじゃあ私は加害者だね。

得意なことは加害者面に変えておくよ。

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