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(お仕事)コペンハーゲンの橋の下

さて前回の続き... 最近は、コペンハーゲンの橋の下で色々と企んでいる。

・秘密基地Langebro(ランゲブロ橋)

中央駅を抜け、チボリ公園を横目に見ながら歩き、コペンハーゲンで一番車の交通量の多い通り(アンデルセン通り)を運河方向へ歩くとLangebroという橋が見える。

橋の根元には支えるレンガの構造と中には空間があって、現在はコペンハーゲン市全ての建物の図面が収納されている。図面のデジタルアーカイブ化に伴い中身が空っぽになるので、そのあとどうやって使うの?という地元住民の疑問からプロジェクトがスタートした。

(橋の下のアーチが床に現れてきててなかなかかっこいい&怖い)

(入り口扉、大きくてインダストリアル感がいい感じ)

土木建造物であり近隣すぐには住宅がない、ちょっと離れたこの場所に、市民の人たちのちょっとした夢が気軽に叶えられるようなアナザーハウスを作る計画をしている。
トランペット吹きたいとか、思いっきり踊りたいとか、大きなスペースでご飯とか。ただ友達と会うだけ、そこなら一緒になにか遊べるかも。な場所。

・提案の背景 - 街のなかで自分の好きなことがしたい

提案の背景にはコペンハーゲンの都市事情もある。

あまり一人暮らしの物件が多くない(あっても40m2以上が多い、でかい)上、住宅の価格・賃料が高騰している都市部では、若い人たちが住む場所を確保するのは難しく、誰かとルームシェアしたり小さな家に家族で住むことが多くなって、安定した自分のことだけができるプライベートスペースの確保が意外と難しいコペンハーゲン。そして古いタイプの集合住宅は多くが築100年以上、薄くてきしむ床・天井でうちも上の人のBGMは筒抜け、近隣トラブルは友人との会話の頻出テーマ。ユルさ・寛大さには定評のあるデンマークも、個人レベルまでいくと結構ギスギスしたところも。

日本ほど成熟した第3次産業(と小さすぎる家)をもつ国なら、カラオケやラブホテル、漫画喫茶など自分の家でできないことを都市の中で24時間体制で受け止めてくれる場所がある。でもコペンハーゲンは?

家だとお隣さんに気を使っちゃうし、一軒家に住むなら郊外に引っ越さなくてはいけないし、スタジオもあるけどちょっと敷居が高い。外は秋冬寒すぎだし、レストランは高くて頻繁にはいけないし...

これまでは多くの活動を家で受け止めてきたが、現代の都市ではそろそろ限界が現れてきた。

・コンセプト - 橋の下にみんなの家

そういった社会状況を鑑みたり、街の人々の様々なニーズに答えていった結果、橋の下にみんなの家を作ろう。というコンセプトに落ち着いた。

家のような、でも橋の下だし家よりもラフな、家のように自由な場所
をどうやって作っていくか。


自治会の人たちや近隣住民の要望をコンセプトにまとめ上げること・コペンハーゲン市(管理者)に申請用の図面・コンセプトブックを作ることなどなどクリエイティブ面で手伝えることをやっていて、実際に中身をいじろう!という時に建築家として参加できるように準備をしているところです。

とりあえずまず、最初のイベントとして、春には音が響きやすい橋の下を利用して、春の歌声まつりを計画しています。私たちは出店の屋台をデザインすることになっています。どんなデザインにしようかな、商品の運搬もできる、クリスチャニアバイクをハックして作ろうかな....

・新施設への反対運動と市民参加型デザイン

いろんな地元のサポーターも現れ、作ったfacebook pageも人気で、順風満帆!あとはコペンハーゲン市のゴーがでるだけ?となればいいのだが、実は私たちの活動に反対する住民もいる。公民館的な施設になるので、きっと若者も含めていろんな人が集まることになるが、静かに暮らしたい、若者を集めたくない地元の人たちもいることは事実。その人たちは反対運動や嫌がらせなどをする訳ではなく、なんと対案で勝負してきている。

この勝負の過程がまさに北欧の市民参加型デザイン!っていう趣でめちゃめちゃ面白かったので、次回に書きます◎



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