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小説 本好きゆめの冒険譚 第六十八頁

「ダメだぁ〜勝てな〜い!」

 ゆめが床に突っ伏せ、撃沈している。

「何で勝てないんだ〜?」

 そう聞いてくるパパに向かって、

「せっかく、アーサー王からもらった「聖剣エクスカリバー」を持ってるのに、勝てないんだよ〜。」

・・・まだ「スライム」に負けている・・・

「どれどれ、パパに見せてみろ、ん?アイテムボックスの中には、あるけど、装備してないじゃないか?」

「装備しないと、つかえないよ?」

「そうなの?」

「ああ、装備してみよう…あれ?装備出来ない…ゆめ、ジョブは何を選んでる?」

「本当は「女神」がよかったんだけど、なかったから、「魔法使い」にしたよ!」

「ゆめ・・・魔法使いは剣を持てないんだよ・・・。」

 ゆめに落雷を受けたかのような衝撃が走った!

「ど、どういう事?」

「ゆめの場合は、「杖」だね。これを強化しないと、だめなんだよ。」

「でも、同じパーティーなら、シェア出来るから、勇者に渡せばいいよ・・・あれ?おかしいな・・?」

「どうしたの?」

「勇者に渡そうとしてるのだけど、ゆめのアイテムボックスから、取り出せないんだよ。おかしいな〜。」

 しかし、ゆめは納得していた。あの「聖剣エクスカリバー」は、私が作ったもの…私しか、持てないのだ。
 何かいい方法は、ないものか・・・?

「ゆめ、いっその事「聖騎士」にジョブチェンジしたらどうだ?」

「そうかな〜?」

「この先にある村の教会で出来るから、そこまで頑張れ!」

 村までって言ったって・・・眼の前の「スライム」に苦戦してる?いや、負けてしまっているのだ・・・

 最も、楽に「勇者」になれればの話だけど…

「私をお呼びですか?」

 私の頭の中で、「男」の声がした…。


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