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ボツになった原案008

こんにちは!
この話は全く違う場面なのですが、知っている人ならクスッと笑えると思います。

***ここから本文***

JIPANG 0007 龍に憧れた男

「やっぱり、借金はダメだよね。」
ビリーさんは、お気に入りのハーブティーを飲みながら優しく断って来た。

「土地代金はタダでもいいよ。悟さんは功労者だし。でも借金を許してしまうと他の皆に何て言えばいいか解らないよ。」
「そうですよね・・・。解りました。頑張って見ます。」
「うん。悟さんなら、大丈夫だよ。」

慎太郎と優香が見つけてきた土地は東京から歩いて30分の近場であった。
広さは・・・。現実の東京都と同じ位の広さ!

俺はラスベガス程度と言っていたのに、二人の頭の中はラスベガスは一国だと思っていたらしい。

金額にして100億円。

稼げるのか?

いや、無理だろう!

「手っ取り早い稼げる方法があるぜ!」
慎太郎は、俺に任せろとばかりに親指を立てた。

「博打で一山当てるはダメだからな!」
「そんな訳、ねーだろーが!でも、半分当たってるぞ!」
慎太郎は立てた親指にプラス、爽やかな笑顔を見せた。

ー***-

「ここか?どうやら空き店舗っぽいな?」
この空き家があるのは、通称、「博打ロード」ギャンブル街の一角である。

「よくこんな店を見つけれたわね。」
優香も不思議そうな顔をしている。

「だろう?でも俺自身は博打はやらねーぜ!」
慎太郎が空き店舗の真ん中で大きく腕を開いている。

「ここで、何をやるんだ?」
「決まってんだろ!賭場よ賭場!」
「賭場って〈丁か半か!〉ってアレか?」
「そーゆーこと!ここで賭場を開くんだ!」
「でも、俺達は博打なんて知らないぜ!どうするんだ?」
「俺に任せとけって!」

俺達がそんなやり取りをしていると、一人の男が入って来た。

見た目は・・・オールバック。深い眉間のシワ。鋭い眼光。

どう見ても、そっちの人だよね?

ちなみに、グレーのスーツ、赤いシャツを脱いで上半身を見せて貰った。

入ってますよ!立派なタトゥーが!いや「黄色い龍」だから「入れ墨」だな。

「あの、失礼な質問ですけど、いいですか?」

男はギロッと睨み、どうぞと低く、静かに頷いた。

「そっち系の方で間違いないでしょうか?」と聞くと男は急に笑顔になり

「迫力ありました⁉僕は大昔にあったヤクザのゲームが大好きだったんです!本当はゲームのタイトルにもなった「応龍」を入れたかったのですが、アバターになくって、仕方なく黄龍にしたんですよね!これだと違うキャラになりますよね!アハハハ!」

良かった・・・。ゲーマーだった。しかし、龍が入ったヤクザゲームってあったのか?今度、調べてみよう。

「この人はさ、そのゲームで賭場のシステムを学んだんだそうだよ!」
「はい!そうなんㇲ!」
「でも、大丈夫ですか?賭場って怖い人がいっぱい来るんでしょう?」

すると、男は急にファイティングポーズをとり「こう言うんですよ・・・。」

「死にてぇ奴だけかかってこい!」

「それも、ゲームのセリフですか?」
「ハイ!そうなんㇲ!最終奥義の虎落とし、一度リアルでやって見たいですよね!」

俺は色々と考えた後「考えたら、このゲームは喧嘩出来なかったんだよね!」
「バレちゃいましたか!」と男はベロを出した。

「賭場って、部屋はどう作ればいいのですか?」
「畳と仕切りがあれば、十分っス!」
「そんなのでいいのですか?」
「ハイ!明かりがろうそくなら雰囲気もバッチリッス!」

「ここで、一攫千金を狙う客どもから金を奪うって訳」
慎太郎が自信ありげに言ってくる。

「でもさ、金額が100億だぞ?そんなに稼げんのか?」
「大丈夫っㇲ!一点、100万から始めますから!」
「それに〈100億の少女っすか!〉よだれもんですね!」
・・・。何言ってんだ?この人。

「ここではさ、チョット変わった金のルールを作ろうと思うんだよね。」

慎太郎が説明をしてくれる。

・入場料、一人100万円。利用料金、一人100万円。合計200万円。
・持ち札は一点、100万円。購入は何枚でも可能だが、他の店では使えない。
・勝った人は、勝ち分をそのまま掛けなければいけない。
・最終的に10000万円に到達した地点で勝利者が決まる。その際に利用料金100万円を上乗せで支払う。
・ただし、合計10回以内に1000万円に到達しなければ、壺振りの勝ちとする。

「どーよ!夢があるっしょ!」
「ほとんど、叶わぬ夢だなぁ・・・。」

黙って聞いている男に名前は?と聞いてみた。

「・・・カズマと呼んでください。」

男はそう言い残すと、店を出て行った。


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