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ボツになった原案004

こんにちは!
さてさて、実際に投稿している小説のタイトルは
インフィニティ・ワールド~希望の果てにですが、
原案ではJIPANGになっています。

もちろん、投稿している小説にもJIPANGと言う名は出てくるんですけど
最終的に変わってしましました。
今回は、一話丸ごとボツになった話です。

昨日との話とつながっていないのですが、そこはご勘弁を。

***ここから本文***

JIPANG 0004 まっすぐな目

そこは見慣れた場所、教会だった。

「やあ、悟さん。よく来ましたね。」
聞きなれた声と、嗅ぎなれたハーブティーの香りがした。

「あの、僕は〈運営へ〉のボタンを押したと思うのですが・・・?」
戸惑っている俺にビリーさんは優しく微笑みながら
「ええ。ここが運営本部なのですよ。悟さん。」

「では、皆さんをご紹介します。」
俺は誰もいないのにと思っていたら、後ろの長椅子に教会の中がびっしりと埋め尽くされている数の大人たちが座っていた。

「あの、この人達って?」
「ええ、昨日の悟さんの話をしたら、皆さん、興味を持たれまして。それで今日は、こちらに集まって貰ったのですよ。」
「でも、世界各国の人達ですよね?どうやって来ているのですか?」

ビリーさんはニッコリと笑い
「そういう素直な所が私は好きですよ。悟さん。」
「このゲームはインターネットで繋がっているのですよ。ですので、例え地球の裏側でも一瞬にして来れるのです。」
「まあ、運営の人だけの特権ですけどね。」
ビリーさんは、悪戯っぽく笑いかけた。

「ちなみに、ここはどこなのでしょうか?」
「北極ですよ。」
「え?僕は日本にいるはずですけど。」
「今だけ、悟さんにも運営の特権を使えるようにしてあるのです。」

「世間話はこれぐらいにして、本題に入りましょう。悟さん、色々な質問が来るかも知れませんが、本当に商売をしたいのなら、全て応えることが出来るはずです。頑張って下さい。」
ビリーさんは、暗い席に移動していった。

「まずは、私から構いませんか?」
どう見ても、外国人だな。でもなんで日本語に聞こえるんだろう?

「私は、主にイタリアを任されていますロッシーニと言います。どうぞ、よろしく。」
「は、はあ、よろしくお願いします。」
「冒険者組合を作りたいという事ですが、何故でしょう?このゲームは自由がベースにあるのですよ?」

まずは、冒険者組合の話しなんだな。これは大丈夫そうだ。
「冒険者の人達は、依頼があって初めて仕事をこなす人達です。依頼がないのであれば、彼らはどうやって、仕事を受け、報酬を貰うのでしょう?僕は窓口を作りたいと思っているのです。」

ロッシーニさんは続けざまに質問を投げかけてきた。
「では、依頼の受付、冒険者の窓口になる組織を作りたいと言うのですね?依頼以外の素材などは、どうされるのですか?」

「それに関しては、商工組合の窓口で鑑定をして、金額を決めます。只今、僕の仲間が鑑定士のデータをインストール中です。買い取った素材は必要とされる店や人に買い取って貰います。」

「依頼達成出来ない仕事はどうされるのですか?」
「依頼された方と相談して報酬を値上げしてもらうしかないと思います。もしくは、この人と言われる冒険者に組合から直接、依頼をする形ですね。その分、何か優遇する面も必要ですが。」

「優遇とは?」
「その場合の税金をなしにするとかですね!」

「そんなことが許される訳、ないだろうが!」
「安心してください。組合が代わりに支払います。」
「そうですか・・・。」

続けて、ロッシーニさんは冒険者に対する待遇の件について質問をしてきた。

「冒険者が死亡した時は、組合はどう対応されるのか?」
ゲーム内で死亡した場合や強制ログアウトした場合、持ち物が全て消えてしまい、更にはレベルも1に戻ってしまう事についてだ。街にいる人達は、余程の事がない限り、死亡することはないのだが、死と隣り合わせの冒険者には、かなりのリスクが伴う。まっ、本人達もそれを承知で冒険者やってんだけどね。

「金銭については組合で何とでも出来ますが、死亡した場合は運営さんの計らいで、10秒以内に使用すれば復活できるアイテムを用意出来ないでしょうか?そう言ったアイテムがあれば、飛ぶように売れると思うのですが。」

「金銭については、どうにでもなると言うのは?どういった方法なのでしょう?」
「簡単です。組合の財産にしてしまえばいいだけの話です。その代わり、預かり代金を支払ってもらいます。」

「それは冒険者組合が、ですか?」
「お金の話ですから、商工組合ですね。冒険者組合と同じカウンターに商工ギルドを作ろうと思います。」

「冒険者組合と商工組合は同じ、という事ですか?」
「冒険者組合は依頼受付と仕事のあっせんだけですね。いずれ、冒険者が沢山の素材を持ってきたら、受付の人達はその事で頭がいっぱいになるでしょうから、お金のことは分けて考えるようにしたいのです。」

「それでは、冒険者組合の売り上げはどうなるのですか?」

核心に触れて来たな。やっぱり最終的にはお金の話し。だよね。

「手数料を商工ギルドより頂きます。素材は売れた時に売り上げから2%だけ、貰いたいと思います。」

「ほほう。何故、2%なのですかな?」
「これは、街全体の話にも繋がる事になるのですが・・・。」

俺はロッシーニさんの目を、真っすぐに見た。


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