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小説 本好きゆめの冒険譚 第六十頁

「改めて、おめでとう!ゆめちゃん♡」

 お母さんが、何処からかケーキをもって来た。

 苺のケーキ。しかもホールで。

「これって、お母さんが作ったの?」

「そうよ〜頑張っちゃった♡」

 お父さんが、嬉しそうにしてるお母さんをよそに

「物凄く練習させられた…いや、してたんだぞ!」

「や〜だ〜♡」

 と、照れるお母さんが、お父さんの頭を叩くと、お父さんの顔が、ケーキの中に・・・・

 

「こ、コホン、さっきのは、なかった事にして…」

 一瞬で、ケーキは元通り、お父さんの顔も綺麗。

「今日は、晩ごはん食べた後だから…。」

「だ〜いじょ〜ぶ、大丈夫♡」

 私にケーキを食べさせる。      

「ん?美味しい?ママの作ったケーキと同じ味がする!」

「でしよ〜、ママさんに教えて貰ったの♡」

 でも、おかしい…。いつの間に…。

 チラッとお父さんを見ると、ウィンクしてた。

・・・なるほど。お父さんがアウトプットしたのね。

「お母さん、ありがとう!大好き!」

 お母さんは、また昇天してしまった・・・


 昇天から帰ってきたお母さんが、

「プレゼントがあるの♡」

 突如空間にドラゴンが現れた。

 前に、お母さんが召喚したドラゴン。

「この子をあなたにあげるわ♡」

「でも、いなくなると、お母さんが困るんじゃ…」

「大丈夫よ!同じのが、もう一匹、いるから。」

「そうなの?」

「ええ、そうよ♡」

「どうやって、仲良くなるの?」

「ん〜、そうねぇ…この子に触れてみない?」

 恐る恐る、手を近づけると、大人しく撫でさせてくれる。

 か、可愛い!

 そう、思ったのがわかったのか、ドラゴンから寄ってくる。

「ほら、懐いたわ!ゆめの可愛さがわかったんだわ!」

・・・・何故、そういう発想になる?

「名前を付けてあげなきゃね♡」

 ゼウスの名前をつけた時は、上手く行ったから…。

「じ、じゃあ、」

「私の名前は、ダメよ♡」

 先手を取られた…。

「じゃあ、黒いダイヤって言われてる食べ物があってね、キャビアって言うんだけど…」

 お母さんが前のめりになって、

「ダ、ダイヤ!」

「ゆめ、コイツは宝石に目がないんじゃよ。」

「お、お母さん、聞いて・・・。」

「ん〜、ダイヤ大好き♡」

 お母さんが、夢の国から帰ってくるまでの間に何とか名前を考えないと・・・・

 良い名前、思いつかない・・・

「ねぇ、お父さん。」

「ん?何じゃ、ゆめ。」

「お父さんの武器の名前って、なんて言う名前?」

「ああ、ケラウノスの事か?」

「その名前、貰っても…」

「ダメじゃ。」

「そこを何とか…」

 色々あったけど、「アイギス」って、他にも武器を持ってるようなので、この名前ならと許しを貰った。

 お母さんが、「夢の国」から、帰ってきた。

「お母さん、名前、決まったよ!」

「良かったわね、なんて名前?」

「アイギス!」

 笑顔のお母さんが、急に顔色を変えてお父さんの顔を何度も見る。大丈夫なの?本当に大丈夫なの?って、聞いている

・・・・もう、遅いのだけど

 ドラゴンを光が包み、何やらしてるみたい。ゼウスの時も、こんな感じだったし…。

 光の中から出てきたドラゴンは、何故か「装甲」している…。

「お父さん、何?これ?」

「アイギスというのは、儂の防具の名前じゃ。」

 お母さんは、顔面蒼白、膝が震えてる。

「私、何かしちゃった?」

「今から言っても、手遅れだもの…しょうがない…。」

「ゆめちゃん、あのね、これからは自分で考えようね!お母さんとの約束♡」

 小指を出してきて、強制的に約束させられた。

「召喚はあなたのパパとママさんと、やり方は同じだから、ゼウスに任せればいいわ♡」

「ゼウス、いる?」

「はい、ゆめ様!」

「お願い。」

「畏まりました!」

 ドラゴン、もとい「アイギス」はゼウスの中に飲み込まれた。

 

「まだ、プレゼントがあるのよ♡」

「この娘ですか!ヘーラー様!」

 振り向くと、1人の女性が立っていた。


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