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第Ⅱ部 勇者パーティ編 第14章 魔法学院卒業編 1.拳闘の講座

 魔法学院は、卒業までに3年掛かってしまう。しかし、早いもので、もう、最後の3年目に突入した。

 1年目は、教師の真似をして、魔法を起動するだけのつまらない授業だった。結局、1年目は、初級・中級程度の魔法の実習・演習が中心で、役に立たなかった。

 2年目には、新規のダンジョン騒ぎのせいで、暫くは、魔法学院が閉鎖されてしまっていた。騒ぎが落ち着いて、魔法学院も授業を再開することになってから、本当の魔法学院の生活が始まった。特に、2年目からは、錬金術の講義が始まり、今までは、自己流で、色々な物を作っていたけど、やっと、基礎から勉強ができるようになった。

 錬金術は、私が興味を持っている授業で、黒魔導士のミーチェが教えてくれた。彼女は、上級教師で、水魔法が得意だった。

 それに、2年目は、キリのパーティーで頑張って、Sランクにまで、ランクアップすることも出来た。これは、本当に、大きな収穫だった。

 更に、ミユが聴講生として魔法学院で、一緒に勉強をすることになった。しかも、今年は、ミュが正式に入学して、一緒に卒業できる可能性があることが分かった。

 3年目は、卒業後の事を配慮して、実務に必要な事を中心に講座が組まれている。一つは、ダンジョンでの演習だ。これは、冒険者として、必要なパーティーでの役割を実際に体験するためのものだ。パーティーは、自由に作ることが出来る。条件は、2つだけだ。一つは、冒険者ギルドに登録すること。もう一つは、5人以下のパーティーにすること。たった、これだけだった。

 当然は、私達は、キリのパーティーとして、魔法学院に登録した。これで、ダンジョンでの演習は、皆と一緒にできる。

 もう一つは、剣などの直接的な魔法を使わない実技だ。私は、魔法の授業は、免除されている。というか、出禁になってしまっている。でも、この拳闘の講座は、出席を許された。使う魔法は、防御用の魔法に限定されたけど、剣を使えるので、楽しみだ。

 今日は、1時間目が拳闘の講座だ。担当は、白魔導士のアイリス先生だ。本来は、治癒魔法が専門のはずだが、上級魔導士と言われるだけあって、拳闘の講座も担当できるようだ。それも、かなりの腕前で、色んな武器を扱えるようだ。

 拳闘の講座は、外の演習場で行われる。私は、少し、起きるのが遅くなってしまって、慌てて、向かっていった。

 「キリ、遅いよ」

 既についていたフヨウが、私に声を掛けて来た。

 「お早う。フヨウ」

 「お早うじゃないよ。もう、皆、並んで先生を待っているよ」

 フヨウに言われて、周りを見ると、もう、皆、列を作って、並んで待っていた。フヨウの列には、エルミアとミユもいた。

 私も、急いで、ミユの後ろに並んだ。暫くして、アイリス先生がやって来た。

 「おはようございます。この拳闘の講座を担当するアイリスと言います。よろしくね」

 「「はい」」

 「それでは、皆さん、自分の使う武器を用意してください。まだ、用意できていない人は、前のテーブルに置いている武器から、何か、一つ選んで、持っていくように」

 私は、アイテムボックスから、細身の剣を取り出した。周りの皆もそれぞれ、武器を取り出している。エルミアも、ミユも、私と同じ、細身の剣を使うようだ。

 「それでは、2人、一組になってください」

 私は、ミユと組みを作った。フヨウは、エルミアと組みを作った。

 「ミユ、よろしくね」

 「キリ、お手柔らかに」

 「はい」

 周りを見てみると、皆も、相手を決めて、組を作ったようだ。それを確認して、アイリス先生は、皆に声を掛けた。

 「それでは、お互いを相手に少し、打ち合ってみてください。ただし、相手に武器を当てることは禁止です」

 「「はい」」

 「カン、カン」
 
 周りで、皆の打ち合う音が響いた。私も、ミユを相手に、剣を振り上げた。ミユも、剣を構えて、振り下ろして来た。

 「カン、カン」

 ミユは、剣を使うのが、初めてなので、無駄な動きも多く、直ぐに、疲れてしまった。私は、アイテムボックスから、赤のポーションを取り出して、ミユに飲ませた。

 「キリ、ありがとう」

 ミユは、赤のポーションを飲んで、元気になった。そして、また、打ち合いを始めた。私は、少し、心配になって、ミユに声を掛けながら、打ち合いを続けた

 「ミユ、無理しないでね」

 「はい、大丈夫です」

 「それじゃ、行くよ」

 「はい」

 私達は、その後も、暫く、打ち合いを続けた。ミユは、少しずつうまく剣を使えるようになった。

 「それまで!」

 アイリス先生が、皆に声を掛けた。

 「それでは、少し、見本を見て貰うことにします」

 アイリス先生は、フヨウとエルミアの組を指名して、皆の前で演武を見せる様に言った。

 「アイリス先生、わかりました」

 フヨウが、返事をして、エルミアと共に、皆の前に出て来た。そして、打ち合いを始めた。

 「カン、カン、カン」

 「皆さん、よく見て、学んでくださいね」

 「「はい」」

 確かに、旨く、演武をしている。無駄が少ない。フヨウは、当然、タンクなので、問題は、無いが、エルミアも、しっかりと、受けて、攻撃もできていた。意外に良く、練習していたようだ。

 その後も、暫く、練習が続いた。

 「今日は、これで、授業を終了します。各自、解散してください」

 私達は、お腹が空いたので、皆で、食堂に行くことにした。そして、今後の練習の方法を検討した。

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