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第Ⅱ部勇者パーティ編 第10章 魔法学院ミユ編 12.Sクラスパーティーへ向けて

 私達は、あれから何度となく中級ダンジョンに潜って、レベルアップを図って行った。その甲斐があって、私達のパーティーメンバーも、全員がAランクの冒険者になった。そこで、いよいよ、Sランクへ向けてのチャレンジをするつもりだ。

 Sランクになるためには、ダンジョンで、魔物を狩るだけでは、だめで、冒険者ギルドからの依頼をいくつか処理をして、貢献度を上げていく必要がある。

 その内容に応じて、ポイントをあげることができる。そこで、まずは、冒険者ギルドで、依頼を受ける必要がある。

 私達は、冒険者ギルドに行き、依頼ボードの内容を確認した。そして、Sランクに相当するような依頼がないか、調べた。しかし、それらしきものは、無かった。仕方がないので、受付のシェリーに相談することにした。

 「シェリー、冒険者ギルドの依頼を受けたいのだけど、何か、いいものはない?」

 「どんな依頼が希望なの?」

 「実は、Sランクの冒険者パーティーになりたいの」

 「そうね。もう、全員がAランクの冒険者になっているからね。次は、Sランクよね」

 「そうなの」

 「うーん、あの依頼テーブルは、Sランク用の物は、張っていないわ」

 「そうなの」

 「ギルド長だけが知っているの。キリなら、いいか。これから、ギルド長に聞いて見るね。待って居て」

 「はい、お願いします」

 暫くして、シェリーが帰って来た。

 「ギルド長が、会って話をしたいそうよ」

 「はい」

 私達は、シェリーに案内されて、ギルド長の部屋に入って行った。

 「私が、ギルド長のキンセイです。よろしく」

 私達は、ギルド長の指示で、ソファに並んで座った。

 「Sランクパーティーに挑戦したいということですが、本当ですか?」

 「はい。そうです」
 
 「まず、Sランクについては、これまでのレベルアップとは異なる制度になっています。つまり、ダンジョンで、魔物を狩って、ポイントを稼ぐということはできません。こちらが、決めた依頼をこなすことによって、Sランクへのポイントを溜めることが出来ます」

 ギルド長は、Sランクへのポイントの仕組みを説明してくれた。それによると、次のようになる。


【Sランクへのポイント加算について」 

「貴族からの特別な依頼」+100ポイント
「ギルド長依頼」+500ポイント
「国王からの緊急依頼」+1000ポイント

Sランクに必要なのは、10000ポイント

「貴族からの特別な依頼」
 ・警護
 ・誘拐

「ギルド長依頼」
 ・盗賊
 ・ダンジョン調査

「国王からの緊急依頼」
 ・魔物の反乱
 ・ダンジョンの制圧
 ・国賊の討伐(盗賊よりも大きな組織)

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 「分かりました。現在、受けることのできる依頼はありますか?」

 「あります。少し、危険ですが、いいですか?」

 「取り敢えず、依頼内容を聞かせて貰えますか?」

 「いいですよ」

 私達は、現在、ギルド長に来ている依頼の説明を聞いた。

 「少し、相談してもいいですか?」

 「1日だけ、待ちます。その後は、他のパーティーに依頼するかもしれません」

 「分かりました」

 私達は、一旦、ギルド長の部屋を出て、相談することにした。

 「皆は、魔法学院の生徒だから、長期に渡る依頼は出来ないよね」

 「そうだね。そうすると、警護は、無理ね。それから、国賊の討伐も遠方の可能性があるから、無理かな」

 「取り敢えず、ダンジョンの調査か、制圧がいいんじゃない」

 結局、ダンジョン関係の依頼をこなしていくことにした。しかも、10000ポイントは、直ぐには達成できそうにないので、気長にチャレンジすることにした。

 私達は、もう一度、冒険者ギルドに戻って、ギルド長のキンセイに話をした。

 「それでは、こちらのダンジョンの調査をお願いします。期限は1週間で、いいですか?」

 「はい、結構です」

 私達は、ギルト長から、調査対象のダンジョンの位置を教えて貰い。早速出発することにした。ギルド長からの依頼は、新しく中級ダンジョンの近くに出来たダンジョンの調査だった。取り敢えず、中級ダンジョンへ転移魔法で、移動した。

 そこから、目的のダンジョンまで、私達は、移動していった。ここは、係員が入り口にいて、一般の冒険者が中に入らないように警備していた。

 「すみません。冒険者ギルドから依頼を受けたマジック・スクールのパーティーです」

 「はい、聞いています。どうぞ、入ってください」

 私は、スキル探索で、ダンジョン全体を調べた。すると、このダンジョンは、階層が40階層あるダンジョンで、規模としては、中級ダンジョンになると思われた。

 次に、更に詳しく魔物の状態を調べて見ることにした。スキル探索で調べた所、最下層には、レッド・ドラゴンがダンジョンマスターとして存在していた。レベルは60とやや高めだった。

 「大体、ダンジョンの様子は分かったわ。今から、言うから、誰か、マップに仕上げてくれる?」

 「はい、私が、やります」

 ミユが、直ぐに、立候補した。私は、スキル探索で、得た情報をミユに伝えて行った。それをもとに、ダンジョンマップが出来上がった。

 「これで、一応、完成ね。このまま、冒険者ギルドに戻ってもいいけど、折角だから、潜ってみない?」

 「「はい」」

 私達は、手元のダンジョンマップを見ながら、最下層まで、魔物を狩りながら、進んで行った。

 ミユは、その都度、マップに補足説明を加えていた。

 「最下層まで、すべて、確認したから、これで、冒険者ギルドに戻るね」

 「「はい」」

 私達は、ダンジョンの入り口まで、転移魔法で移動して、係員に挨拶をして、ダンジョンを後にした。

 そして、冒険者ギルドに転移魔法で移動して、ギルド長のキンセイに結果を報告して、依頼を完了した。

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