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第Ⅱ部 勇者パーティ編 第13章 Sクラスパーティー編 3.Sクラスパーティー誕生?

 私達は、週末には、ギルド長の依頼をこなすようになった。事前に、フヨウが、選んだ物を引き受けている。これまでに、もう、相当数の依頼をこなして来た。

 私は、食堂で、皆が集まった時に切り出した。

 「ねえ、もうそろそろ10000ポイント、溜まったのじゃない?」

 「フヨウが、知っているわね。教えてよ」

 エルミアも、気にしていたようだ。フヨウに、どうなっているのか、聞いてきた。

 「ちょっと待ってよ。今、確認するから」

 フヨウは、アイテムボックスから、手帳を取り出して、これまでの記録を確認していた。どうも、計算が苦手なようで、何度も、やり直しているようだ。

 「フヨウ、私が確認しようか?」

 ミユが、見るに見かねて、フヨウに声を掛けた。

 「うーん、分かった。頼むよ」

 フヨウは、諦めて、手帳をミユに渡した。ミユは、手帳をぺらぺらとめくって、最後まで、一気に計算を終わらせた。本来は、ギルド長の依頼は、500ポイントになるのだが、内容や報告内容に応じて、加算ポイントがあるようだ。そのため、フヨウも、計算に時間が掛かったようだ。

 「今で、9750ポイントよ。後、1回で、達成ね」

 「やった。もう、直ぐね」

 エルミアも、嬉しそうに声を出した。

 「それじゃ、今週末には、Sランクパーティーになるのね」

 「そうだね。もう1回だからね」

 私は、週末が待ち遠しかった。これだ、やっと、Sランクパーティーだ。勇者がいなくても、なれるんだ。って、ミユも、勇者だった。それじゃ、成れて当たり前か。まあ、でも、よく、頑張ったわ。

 今日、フヨウが冒険者ギルドに行って、新しい依頼を聞いてくることになっている。皆は、食堂で、フヨウが戻ってくるのを待って居た。

 暫くして、フヨウが食堂に入って来た。

 「フヨウ、お帰り」

 「どうだった?」

 「実は、今回は、ギルド長の依頼では、ないんだ」

 「フヨウ、どういうこと?」
 
 エルミアが、びっくりして、大きな声を出した。食堂の皆の視線が私達に集まったようだ。

 「エルミア、声が大きいわ」

 ミユがエルミアを窘めた。

 「ごめんなさい。思いもかけないことだったので、大きな声を出してしまったの」

 「そうだね。予想外だね」

 フヨウも、仕方がないという顔をしている。

 「フヨウ、説明してよ」

 エルミアが、フヨウに、詳しく話を聞きたいようだ。

 「冒険者ギルドに行って、いつもと同じようにギルド長と話をしていたんだ」

 皆、頷いている。

 「そしたら、急に、兵士が駆け込んできて、ギルド長に何か、報告をしたんだ。
  そしたら、その話を僕にも、聞いてくれって。
  断れずに、話を聞いていたら、今回の依頼になってしまったんだよ」

 「断れなかったの?」
 
 ミユが、フヨウに尋ねた。すると、フヨウが、項垂れて、返事をした。

 「一度、聞いたら、だめだって。そんなこと、僕は、知らなかったんだ」

 「仕方がないわ。フヨウの責任じゃないもの。それに、フヨウにすべて任せているのだから」

 私は、フヨウの持って来た依頼を受けるつもりだ。

 「わかったわ。私も、それで、いいわ」

 エルミアも、賛成してくれた。ミユも、頷いている。賛成のようだ。

 「それじゃ、詳しい話をするね」

 フヨウが、今回の依頼内容を話し出した。要は、新しくできたダンジョンの制圧をするってことね。しかも、強い、魔物が溢れ出しているから、至急、討伐に向かって欲しいということね。

 「私が、先行で、ダンジョンに行くわ。取り敢えず、溢れている魔物を倒しておくわ。週末に、皆で、ダンジョンの制圧をするってことで」

 私が、一番自由に動けるので、皆に提案した。

 「ごめんね。キリ。お願いします」

 皆も、私の提案に賛成したようだ。私は、パープルを呼んで、一緒に行って貰うことにした。

 「それじゃ、行ってきます」

 私は、こっそりと転移魔法を使って、新しくできたダンジョンの近くに移動した。

 「パープル、お願い」

 パープルは、ダンジョンから、溢れ出している魔物を狩りまくった。

 私は、闇魔法で、ダンジョンの入り口に結界を張って、魔物が外に出れ無くした。

 暫くして、パープルが戻って来た。少し離れた所に居た魔物も倒したようだ。私は、念のためスキル探索で、そのほかに、魔物がいないか、調べて見た。どうやら、パープルがすべて倒したようだ。ダンジョンの中意外には、魔物の気配はなかった。

 「これで、取り敢えず、いいわね」

 「うん。魔物が溢れていないよ」

 このまま、戻ってもいいのだけど、折角だから、ダンジョンの様子を調べることにした。私は、スキル探索で、ダンジョンを調べた。すると、ダンジョンは、第70階層まで、ある、中級のダンジョンと言うより、上級ダンジョンに近いものだった。

 「パープル、もう少し、倒して行かない?」

 「うん。いいよ。倒そう」

 私達は、ダンジョンの中に入って行った。ダンジョンの入り口には、身動きが取れないほどの魔物がいた。結界の性で、外に出れずに、溜まったいるようだ。

 「風壁ウィンド・ウォール
 風壁ウィンド・ウォール
 風壁ウィンド・ウォール

 火魔法だと、私達も熱くなるので、風魔法の範囲攻撃を放った。すると、ダンジョンの出入口の魔物は、倒すことができた。これで、スペースができた。更に、奥に進むために、もう一度、範囲攻撃を放った。
 
 「風壁ウィンド・ウォール
 風壁ウィンド・ウォール
 風壁ウィンド・ウォール

 「よし、これで、見通しが良くなったね」

 「うん。動きやすくなったよ」

 「それじゃ、もう少し進むよ」

 「うん。進もう」
 
 私達は、もう少しだけ、ダンジョンの中を進んで行くことにした。このダンジョンは、第70階層まであるので、週末に終わらせるのには、もう少し、進んでおく必要がある。

 「それじゃ、行くよ」

 「うん」

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