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第Ⅰ部 キリ誕生編 第5章 魔人ブラック編 7.伝説の武器

 キリ達は、久しぶりに魔法学院に顔を出した。

 長い間、講座を欠席していたので、追試を受けることになった。でも、すべて、中級魔法止まりで、キリもキリ姉も、問題なくすべての科目で高得点での合格を果たした。

 その時、上級教師のマルグリットにも、会うことが出来た。

 「マルグリット先生、久しぶりにです。お元気でしたか?」

 キリ姉が、廊下で、マルグリット先生を見かけて、声を掛けた。

 「ええ、元気でしたよ。キリ、どうだった?」

 「はい、私も元気でした。色々と忙しかったのですが、最近は、少し、落ち着いてきました」

 「そう、それは良かった。それでは、学校の勉強も集中できるわね」

 「ええ、少しは頑張れると思います」

 「まあ、少しだけ? 
 でも、キリは、優秀だから、問題ないわね」

 「ところで、以前斧の武器について、調べていたわね。特に、特殊な武器がないかって」

 「はい、調べていました。何か、見つかったのですか?」

 「私も、現物を見たわけではないので、自信はないのだけど」

 「どんな、情報でもいいので、聞かせて下さい」

 「そう、もし、デマだとしても、私を許してね」

 「もちろんですよ。仰ってください」

 「少し、時間が掛かるので、食堂で何か、食べながら話さない?」

 「はい、ちょうど、お腹が空いていたので、助かります」

 キリとマルグリット先生は、近況を話しながら、食堂にやって来た。そこには、キリとパープルもいて、すでに、何か食べていた。

 「キリ、パープルも、私も誘ってよ」
 
 「ごめんなさい。キリ姉が、マルグリット先生と話していたので、つい、………」

 「そうね。マルグリット先生と武器について、話をしていたのよ。キリも興味があるでしょ」

 「はい、聞きたいです」

 「それでは、ここで、少し待っていてね。料理を取ってくるから」

 キリ姉とマルグリット先生は、料理を皿の上に載せて、戻って来た。

 「はい、お待たせ。あれ、キリ達は、もう食べ終わったの?」

 「うん。終わったよ」

 「私達は、これからだけど、食べながら話をしますが、よろしいですか?」

 マルグリット先生が丁寧に、断りをいれた。

 「はい、マルグリット先生、大丈夫です。
 ゆっくり、食べながら、話を聞かせてください」

 マルグリット先生は、食事をしながら、話し始めた。

 「わたしが、リーツ王国の交換教師として、このウディーア王国に来たことは知っているわね」

 「「はい、知っています」」

 「その元居たリーツ王国の話なんだけど、最近隕石が落ちたらしいの」

 「隕石ですか」

 「そう、それが、遺跡の広場に落ちたらしいの」

 「隕石なら、時々落ちていますよね」

 キリ姉が、マルグリット先生に尋ねた。

 「そうね。月に1回ぐらいは、聞くわね。
 でも、今回のは、いつもと少し違っていたの。
 まず、場所が遺跡の中の広場だったこと。
 それから、その隕石を目撃した人が、神官だったということ。
 さらに、その人の話では、単なる隕石ではなくて、周りが眩しい光で覆われていたというのよ」

 「ひょっとして、その遺跡は、伝説の遺跡ですか?」

 「キリは、伝説をしっているの」

 マルグリット先生が、キリ姉に、聞き返した。

 「マルグリット先生が、来られた時に、リーツ王国について、少し調べたのです」 

 「そうだったのね。キリは、色々とよく知っているわね」

 「その遺跡というのは、武神セナマを祭っていた遺跡なのよ。
 そして、その武神セナマが持っていたのが、伝説の武器聖炎神戦斧ファイ・バトルアックなの。その武器には、言い伝えがあるの。使われるときは、炎を帯びるということ。
 言い伝えとしては、武神セナマが持っていた戦斧バトルアックに炎が落ちて、気が付くと持っていた戦斧バトルアックが、聖炎神戦斧ファイ・バトルアックになったっていうのよ。そして、戦士だったセナマが炎を操る武神セナマになったというのね」

 「本当にそんなことってあるのですか?」
 
 キリが、マルグリット先生に聞いた。

 「うーん、分からないわね。でも、伝説には何か、後世の人々に伝えたいことを含んでいると思うの。だから、突拍子もないことも、最初から嘘だと決めつけずに、その伝説の意図を考える必要があると思うのよ」

 「はい、わかりました」

 「ところで、その斧はどうなったのですか? 
 今は、誰が持っているのですか? 
 教えてください」

 キリ姉が矢継ぎ早に、マルグリット先生に聞いた。

 「どうも、まだ、その遺跡の広場にあるらしいの」

 「えぇっ、どうして?」

 「これも、噂だけど、兵士が5人で持ち上げようとしたけど、持ち上がらなくて、そのままになっているって聞いたのよ」

 「そんな重いのなら、使えませんね」

 「そうね、普通の人には、持つことができないわね。まして、武器として使うのは不可能よ」

 「そうですね。マルグリット先生、お話を聞けて楽しかったです。ありがとうございます」

 「また、何か情報があったら、教えますね。キリ達も、出来るだけ学校に出てきてくださいよ」

 「「はーい」」

 キリ達は、マルグリット先生と食堂で分れた。その日の午後は、いつも通りの自習の日だった。

 そこで、キリ達は、ミユとハルトを誘って、することにした。

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