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第Ⅱ部 勇者パーティ編 第14章 魔法学院卒業編 4.剣術のレベルアップ

 今日は、1時間目に拳闘の講座がある。アイリス先生は、ゆっくりと指導するみたいだ。前回は、武器になれるだけの授業だった。今日は、どうだろう?

 アイリス先生は、かなりの腕前で、色んな武器を扱えるようなので、模範演技を見てみたい。一度、先生に、お願いしてみようかな?

 私は、ミユと一緒に外の演習場に向かっていった。途中で、フヨウとエルミアに会った。

 「キリ、一緒に行こう」

 フヨウが、私に声を掛けて来た。

 「お早う。フヨウ」

 「お早う。キリ」

 エルミアにも、挨拶をして、皆で一緒に列に並んだ。暫くして、アイリス先生がやって来た。

 「おはようございます。皆さん、準備は、出来ていますか?」

 アイリス先生は、周りの様子を見て、皆武器を持っていることを確認した。

 「「はい」」

 「それじゃ、始めます。まずは、前回の復習です。2人1組になって、打ち込みを行ってください」

 皆は、前回と同様に、組になって、剣を降り始めた。

 「コン、カン、コン」

 周りから、剣が当たる音が聞こえて来た。私も、ミユと一緒に、打ち込み練習を始めた。

 「カン、カン、カン」

 ミユも、剣の扱いに慣れてきたようだ。意外に、ミユは、覚えが早い。感がいいようだ。

 「ミユ、いい感じね」

 「本当ですか? うれしい」

 「本当よ。ミユは、呑み込みが早いね」

 ミユは、嬉しそうだ。先ほどより、更に動きが良くなってきた。これなら、タンクの予備要員として十分役に立ちそうだ。

 アイリス先生は、皆の様子を確認している。どうやら、基礎練習は、終わりのようだ。。

 「それでは、一旦、終わってください。次は、隣の組と相手を変えて、打ち込みを行ってください」

 「「はい」」

 相手を変えて、また、打ち込み練習を開始した。しかし、今回は、直ぐに終わった。

 「はい、それでは、また、相手を変えて、打ち込み練習を行ってください」

 「「はい」」

 暫くは、相手を変えての打ち込み練習を繰り返した。そして、いよいよ、次の段階に進むようだ。

 「それでは、終わってください」

 アイリス先生は、生徒の中から4人を選んで、前に出てくるように指示をした。

 選ばれて生徒が、模範演技を行うようだ。その4人の中に、フヨウが入っていた。

 「フヨウ、頑張ってね」

 私は、思わず、大きな声を出して、応援した。隣にいたミユも、声を掛けた。

 「フヨウ、ファイト!」

 フヨウは、私達に手を振って、挨拶をした。

 「それでは、2人ずつ組みを作ってください。それから、2対2で、打ち込み練習をしてください」

 フヨウ達は、それぞれ、相手を決めて、向き直った。

 「それでは、始め!」

 4人は、激しく打ち合い始めた。最初は、バラバラだった2人組の動きがだんだんと協調しているように見えた来た。

 「カン、コン、コン」

 「カン、カン」

 4人の様子を見て、アイリス先生は、模範演技を止めさせた。

 「そこまで!」

 4人は、動きを止め、静かに、その場に立っていた。

 「それじゃ、元の場所に戻っていいわ」

 4人が、元の列に戻るのを確認してから、アイリス先生は、次に指示を出した。

 「それでは、先ほどの模範演技を真似て、各自隣のペアと対戦してください」

 私は、ミユとペアで、隣にいた2人組と対戦することになった。

 「「お願いします」」

 お互いに、ペアとの協調を考えながら、打ち合うって、結構難しい。でも、時間と共に、ミユとの息があって来た。2人だけど、1人の様に、連続して、攻撃が出来る様になってきた。そして、ミユが考えている狙いも、自然に理解できるようになった。

 「それでは、止め!」

 アイリス先生の号令と共に、全員が、練習を止めた。

 「今日の練習は、ここまでとします。各自、解散してよろしい」

 私とミユは、フヨウとエルミアを探して、一緒に、食堂に行こうとした。すると、後ろから、誰かが声を掛けてきた。

 「おい、キリ、久しぶりだな」

 私は、聞こえないふりをして、そのまま、フヨウ達の所に向かった。

 「おい、キリ、無視すんなよ」

 また、後ろから、声が聞こえた。今度は、前より、大きな声だ。直ぐ、後ろにいるようだ。

 「誰?」

 私は、仕方なく、後ろを振り返り、立ち止まった。

 「俺だよ。忘れたのか?」

 「うん。忘れた」

 「キリ、一緒にダンジョンも潜ったじゃないか?」

 「ふーん、そうだっけ。それで?」

 「次に授業のこと、聞いているか?」

 「えっ、何のこと?」

 「アイリス先生の拳闘の講座のことだよ」

 「何も、聞いていないわ。ねえ、ミユも、知らないよね」

 「はい、何も聞いていません」

 「それじゃ、俺が教えてやろう」

 「別にいいよ。授業の時に分かるから」

 私は、クルドから、直ぐに離れたかったので、ミユを引っ張って、食堂に向かった。

 「おい、待てよ。教えてやるから」

 私は、また、クルドを無視して、先を急いだ。いつの間にか、食堂についてしまっていた。食堂の中には、フヨウとエルミアもいて、席を確保してくれている。

 私とミユも、料理を皿に盛って、席に着いた。すると、クルドがまだ、私達を追って来ていた。私の隣の席に座ろうとしている。

 「ねえ、いつまで、くっ付いているのよ」

 「この席は、空いているのだろ。だったら、誰が座っても、問題ないよな」

 「私の横でなければね」

 「そんなこと言わないで、俺も、仲間に入れてくれよ」

 「ヤダ」

 今日は、最悪な1日だ。クルドに、絡まれ続けて、いつの間にか、午後からの授業になっていた。

 「私達は、特別に別のダンジョンに潜るから、ここで、お別れね」

 「ちくしょう! 俺も、キリと潜りたい」

 「ダメ、ダメ」

 やっと、クルドと離れて、のんびりと過ごせる。私達のグループは、人目を避けてから、上級ダンジョンの傍に、転移魔法で、移動した。さて、今日は、何をかろうかなぁ。

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