魅力的な演技とは何か
さて、俳優の魅力とは何でしょうか?
これにはまず、「魅力的ではない」とはどういうことかを考える必要があります。
魅力的ではない俳優とは…
技術が未熟な俳優でしょうか?
それとも、すごい不細工な俳優でしょうか?
いいえ、違います。
僕の基準では、下手な演技も、不細工な見た目も、きちんと扱えばそれは俳優としては「魅力」になります。
では、魅力のない俳優とは?
それはずばり、「普通」なことです。
魅力=個性
僕たち表現者は、見てくれる人、つまり舞台であればお客さん、テレビやラジオであれば視聴者さんを、満足させることが仕事です。
そしてそういう人々は、舞台やドラマや映画に「非日常」を求めています。
しかし、そこで日常に沢山転がっている「普通」を見せられても、なんの満足も得られないのです。
逆に言えば、魅力的な俳優とは、普通ではない、つまりは「個性がある」ことが大事なのです。
なんだよそんなの当たり前じゃないかと思われるかもしれません。
でもこれって、意外と忘れられがちです。
なぜか。
演技を始める人は、憧れの俳優や声優がいて、その人のようになりたいと思って始める人が多いですよね。
でも、誰かに憧れるくらいの人というのはものすごく魅力があるので、みんなが真似しようとします。
しかし、どんなに頑張って真似しようとしたって、その人とは顔も違うし身体も違う、声も違うのでありまして、結局本人になることはできないのです。
キムタクという型
キムタクなんか、いい例ですよね。
みんながキムタクの真似をしようとするけど、キムタクにはなれません。
どんなに頑張っても、「キムタクを真似する人」なのです。
そして、みんな同じように真似をするから、そこには結局個性はない、つまり俳優としては「魅力的でない」となるわけです。
こうして、沢山の「量産型俳優」が生まれていきます。
量産された俳優には、当然個性はなく、したがって魅力もありません。
キムタクの例はちょっと極端かもしれませんが、僕たちの記憶の中には無意識に様々な「型」が埋め込まれています。
喜ぶ演技、悲しい演技、怒った演技、驚いた演技
2枚目の役、3枚目の役、優しい役、意地悪な役、社長の役、下っ端の役…
などなど、場面や役柄によって、「こういう時はこういう風に演じるものだ」という型。
それらは、「どこかでよく見る演技」として、僕たちに『正解』を与えます。
しかしその正解は、みんなが同じように持っている正解です。
魅力を獲得するには、そういった僕たちの中にこびりついて消すことのできない『正解の型』から脱する必要があるのです。
ではどうすればいいのか。
僕は、大事なことが三つあると思っています。
自分を知る
自分を好きになる
自分をコントロールする
本日はここまで。
次回は上記の三つについて、もう少し詳しくお話していこうと思います。