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バックビートを研究し始める

バックビートって何?

狭い定義としては、4拍子における2拍目と4拍目のこと。もうちょっと言うと、2拍目と4拍目にパーカッシブな音(スネアやハンドクラップ、ハイハットクローズの音など)を入れたもの。さらには、それが特徴となる主にアメリカの音楽。
これは、以下の記事を参考に自分なりの解釈をまとめたもの。

バックビートの衝撃

紹介した2個目の方の記事によればバックビートが登場し席巻してアメリカに衝撃を与えたらしい。

かくいう自分も最近この概念を知って衝撃を受けた。
今まで音楽を聴いたり演奏してきたときになんとなく感じていたことの説明が言葉でなされているからだ。

なんとなく感じていたこと

  • 何となく邦楽と洋楽のノリが違う感じがする。

  • 特にファンクやR&Bでは洋楽は2拍目と4拍目の「ビートが効いている」感じがする。

  • フュージョンやクロスオーバーの曲を聴くと、日本と海外のものをなぜか聴き分けられる。

  • 自分はベーシストなのだが、どうもグルーヴィな「それっぽい」感じにならない(これは邦楽をやってもそうなので、自分が下手なだけという説もあるが)。

4つ目の点はさておき、長らくこれは遺伝子の差もしくは文化の差に起因するのでどうにもならないものだと思っていた。

ある日、BTSの曲を聴いてびっくりした。

「めっちゃ洋楽っぽい!」

アジア圏に属する韓国の音楽でも、洋楽っぽさが出せるようなのだ。

そんな中、次の動画を見て衝撃を受けた。

詳細は省くが、譜面上は似たような楽曲であっても、洋楽と邦楽でそもそもリズムに違いがある、ということらしい。そして日本人のドラマーがデモンストレーションでリズムの違いを叩き分けているのである。

魅力を感じ、研究しようと思った理由

演奏者に希望を与える意味での魅力と、理論としての魅力がある。この2つがバックビートについて自分なりに研究してみようと思った理由である。

演奏者に希望を与える意味での魅力

演奏者からすると、バックビートをちゃんとできるようになることで、いくつかの音楽ジャンル(Funkなど)で日本でも洋楽らしい曲や演奏ができるようになるかもしれないのだ。日本人に生まれついたら、海外っぽいグルーヴは遺伝的/文化的に出せないと決まってしまっていたらそれは悲しいが、そうではなくてある種の技術を身に着けることによって可能になるわけである。これは希望を感じる話だ。日本人はリズム感が悪い、みたいなイメージも払拭できるかもしれない。

自分は邦楽、J-POPもとても愛好しているのだが、一方で、本場らしい楽曲も日本から出てくるのは、バリエーションが増えて日本の音楽に幅が出るということなので大変結構である。

また個人的には一発逆転の可能性があるというのも魅力である。どういうことか。
自分は楽器歴ン十年ではあるが、非常に下手くそである。YouTubeやInstagramなど動画SNSで素人でもとても上手な人が沢山いて、到底かなわないレベルである。
しかし、タイム感の正確さや、超絶テクニックが使えなくても、バックビートを身に付ければある種のジャンルではそれなりにかっこいい演奏になるかもしれない。もしかするとタイム感や超絶テクニックを身に着けている人と同じ土俵で戦える可能性すらあると思った。これが一発逆転という言葉を使ったわけだ。
(ちょっとやってみると全然簡単な道ではないのであることがわかるのであるが、それはさておき)

理論としての魅力

コード理論やスケール理論に比べ、リズムの理論にはオカルト的なものが多い。今まで書籍やDVD、もしくはサークルの先輩などから言われたことがいまいちロジカルに理解できず、もやもやしていた。個人的にオカルトだと思ったものを挙げる。

オカルトの例

  • 説明なしにどんどん出てくる新しい概念(例.横ノリ/縦ノリ)

  • 人間が演奏する際に意識できるレベルと思えないような細かな音のコントロールの話(例.ベースの弦の縦振動、出音の速さ、プライマルギアを細かくする話)

  • 比喩なのか科学的な話なのかが区別しにくい説明(例.リズムの円運動)

(これらのオカルトについては別の記事で触れたい)

一方で、このバックビートの理屈は比較的少ない概念のみで説明しようとしていて、好感が持てた。また、ものすごく微細な音のコントロールの話ではなく、大きなゆったりとした流れで大枠のグルーヴが作れる説なので、その点も自然な感じがした。こうした理屈で邦楽と洋楽の差が説明できるのは魅力的である。そういったわけで、数多あるリズム理論の中でバックビートの理論が現時点では有力であると考えている。

一方で、比喩なのか科学的な話なのかが区別しにくい、というではまだ疑問も残るところである。特に、日本におけるバックビートの説明に関しては十分に理解ができないところがあるので、この点は自分なりに整理していきたいと思っている。

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