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No.9 荒井良二さんのnew born展。うつくしいってなに?

7月29日 月曜日
今日はアーツ前橋で開催中の、「new born 荒井良二」展を見に行ってきました。
絵本の原画から、文章、手紙や新聞のようなもの、メモ書きのような小さな作品、立体作品まで、盛りだくさんの展示でした。
まず、初めに展示されていたのは、最果タヒさんとの共作の絵本、「うつくしいってなに?」の原画でした。
もう、この時点で、この作品を見ることができて本当によかった、と、心が満たされてしまって、ちょっと泣きそうでした。
一人だったらきっと、泣いていただろうなと思います。

会場のあちこちに、荒井さんからのメッセージが貼られたり、壁に書かれたりしていたのですが、ひとつの文章が印象に残って、一周まわった後で、もう一度読みに戻りました。

一日中、自分のことを考えているので、模写をしたら、他者のまなざしに近づけるのでは?と思って書いているんです。 

A.R

これは、荒井さんが毎晩日記のように描いているという名画の模写が、壁一面に貼られた展示の前に貼られた、小さな紙に書かれた言葉でした。

なるほど、と思いました。私もやってみたい、とも思いました。
一緒にいた母も父も、この言葉から何かを感じ取っていたようで、いいなあ、と言っていました。

私は、いい言葉や文に出会った時に、それをノートに書き写す、ということをしています。
あんまり読み返したりしないし、なんのためにやっているの?と聞かれても、なんとなく好きだから、としか答えられなかったのですが、この荒井さんの言葉を読んで、自分のこの引用ノートの意味に、形が見えた感じがしたんです。
私は誰かの言葉を通して、他者の視点を感じる時間をとっているってことなの、かもしれないな。

そとから言葉をもらう。
うちがわで見えないものの輪郭をつくる。
そんな瞬間を、ハッとすると言うのかも。

とにかく素敵な展示でした。
じんわりしたり、クスッと笑ったり、感動したり、キュンとしたり、心地よくっていすわりたいような空間。
会期中にもう一度見に行きたいと思います。

もう一つびっくりしたことは、思いがけず父が美術鑑賞を楽しんでいたこと。
隅々まで見て、自分のお気に入りを見つけたりして楽しんでいました。
人って宇宙です。
父は普段美術館に行くことはしない人なので、連れて行ってもつまらないかもしれない、と少し心配だったのですが、よかったです。


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