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Apple Cardを3ヶ月使った感想

 Apple Cardを9月初旬に入手して3ヶ月が経過しました。その感想をまとめました。

セキュリティ上の課題を抱えている既存クレジットカード


 一般的なクレジットカードは、カーボン転写のためにエンボス加工された文字が配列されています。しかし今の時代、一般的な生活においてカーボン複写で決済する事は殆どありません。むしろ、重要情報がカードに記載されていることで、セキュリティ上の大きな脆弱性を抱えることになっています。

 私が会社用のクレジットカードとして使っているAMERICAN EXPRESSは、何故か表面にセキュリティコード(CCV)が記載されているので、ちょっとした隙にカードの表面の写真を撮られたら一巻の終わりです。このクレジット番号の記載を廃止すると、ICチップや磁気ストライプによる決済以外の方法、例えばオンラインショップでクレジット情報を入力して決済することが出来ません。そのことから、従来のスタイルを維持していました。


 Apple、このようなこれまでのクレジットカードが抱えている課題を、iPhoneと組み合わせて解決することを試みました。それが、このApple Cardです。


新時代のデザイン


 マットホワイトにチタン素材のカードは、普通のクレジットカードとは全く違う質感で所有欲を満たしてくれます。クレジットカードに所有欲なんかあまり意味ないのですが、カスタマとのタッチポイント全てにアップルの企業理念を伝える徹底した姿勢に、この企業の凄さを感じます。
 触った瞬間、金属ならではの少し冷たい感触と重さが、このカードの存在を際立たせます。バイク乗りとしては、軽量・高強度という馴染み深いチタン素材に萌えます。クレジットカードにあるべきナンバーも無く、連絡先など細かな情報も記載されていません。表にあるのは名前とアップルのロゴそしてICチップだけ。裏はマスターカードとゴールドマンサックスの二つのロゴだけという、徹底的にシンプルにこだわっています。


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 入手した当初は、買い物のたびに注目されて声を掛けられることがありましたが、3か月も経つと店側も馴染みが出たようで、今では声は掛けられないです。先日、日本に行ったときに使いましたが、一回も声を掛けられる事はありませんでした。日本ではまだリリースされていないので目立つと思ったのですが、日本人にはあまり興味が無かったようです。

 このカードはすぐに汚れてしまうと覚悟していましたが、意外と綺麗さを保っています。届いた日にApple Cardを触ったり眺めたりと楽しんでいたら、何を思ったか、突然2歳の娘が私からカードを取り上げて走り去って行きました。私を相手にして、というアピールだったのでしょう。そしたら直ぐに転んでしまい、カードをアスファルトに擦ってしまいました。ガリッと擦れる音に「アチャー」と愕然としましたが、カード下が少し擦れただけで済みました。むしろ、金属製である証を削れたところから感じることが出来ます。バイクのパーツやライカのカメラのように、エイジングを楽しめるかもしれません。

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 財布に入れると、従来のカードと比較して若干厚みを感じます。エンボス文字が無いので数値的にはむしろ薄いはずですが、カードが硬いので革製の財布のポケットにピッチピチになり、それが厚さを感じさせる要因になっているようです。

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UI UX


 クレジット番号の無いなカードは安心感を与えてくれます。仮に不正利用が疑われる事態が発生したら、その場でiPhoneを通して「新規カード番号」を発行することができます。その際、物理カードの再発行は必要ありません。また、物理カードを破損したり紛失しても、その場でiPhoneを通して再発行ができます。クレジット会社に連絡して再発行するという手間が必要ないのは、私のように英語に不自由な人間にとっては大変有難いユーザーインターフェースで、新しい体験価値を提供してくれました。

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 定番の支払いでカード情報が必要となる場合、WalletからApple Cardにアクセスしてカード情報を参照します。これは多少面倒ですが、安全とのバーターと考えれば納得できます。Apple IDで紐ずけされたApple端末ならば、決済するときにカード番号入力欄からカード情報が参照できるので、実際にはそんなに手間はかかりません。

 利用履歴やキャッシュバックがiPhoneで簡単に確認できるのは素晴らしいです。わざわざクレジット会社のサイトで確認するという手間が省かれました。


ベネフィット


 Apple Cardのベネフィットはセキュリティ面だけではなく、キャッシュバックにも注目が集まっています。Apple Payで決済すると2%のキャッシュバック、物理カードで決済すると1%のキャッシュバック、Appleの店舗で購入すると3%のキャッシュバックがあります。先日、NIKEのファクトリーアウトレットで買い物をしたら、ここでも3%のキャッシュバックでした。NIKEやUberなどがApple Cardのパートナーになり、3%のキャッシュバックの対象になったようです。しかし、このキャッシュバックの率は、他の米国クレジット会社のキャッシュバックと比較して、とくに高い率ではありません。iPhoneを通して、キャッシュバックされたことを視覚的に体験できるのが、このベネフィットが優れていると思わせるトリックです。

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 キャッシュバックのDaily Cashは、すぐに振り込まれるのではなく時差があります。例えばレストランで決済する場合、米国ではテーブルチェックが一般的です。テーブルにウエイターがレシートを持ってきます。レシートを確認してクレジットカードをウエイターに渡し、一旦それで決済されます。その後、レシートにチップを記入しテーブルから去ります。先日、レストランで食事をしたら、チップ無しの価格で保留状態が続き、2日後にチップを入れた価格で確定されました。キャッシュバックは、チップ込みで計算されます。

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 私は、海外に居住しているため飛行機に乗る機会が多いことから、マイレージを貯められる航空会社系のクレジットカードを20年以上使っています。正直、キャッシュバックと比較してどちらが得なのかまだ分かりません。ただ、マイレージの価値は、航空会社のさじ加減によって変化する恐れがあります。現時点では、キャッシュの方が安全資産と受け止めています。

 割り当てられた利用限度額は$7,500で、年利は17.49%です。Apple Cardの年利は信用レベルに応じて12.99%から23.99%の範囲です。私は中間くらいですね。米国ではクレジットヒストリーというのがあり、一人一人信用会社によってスコア付けされています。私はこれまで支払いにおいて遅延を全くした事ないので、信用レベルのスコアは良いはずですが、思った程良い利率ではなくちょっと残念です。ただ、期日内の支払いをする主義なので、私にとってはあまり関係ありません。

 年会費、キャッシング・サービス、限度額超過利用などの費用はべて無料です。支払い遅延による罰金も発生せず、規定された利率のみ上乗せされます。


個人的な課題・問題


 私にとっての致命的な欠陥は、家族カードが無い事です。これまで、航空会社系カードの家族カードを利用して、家庭の決済を1つにまとめていました。Apple Cardではそれが出来ません。ダメ元で、妻のiPhoneのWalletに、私のApple Card情報を入力してみましたが受け付けてくれませんでした。この際、別決済でも構わないので、妻のApple Cardの発行を請求しましたが、これも受け付けてくれませんでした。専業主婦で収入が無いからでしょうか。年収を入力する欄に詳細情報が記されており、妻の場合は「共有名義の銀行口座に他の誰かが入金している」に該当しています。しかし、私の年収を入れても承認されませんでした。理由は「Identify Could Not Be Verified」でした。身分証明が出来なかったらしですが、米国の運転免許・ソーシャルセキュリティナンバー(年金番号)等をしっかり情報提供しているので問題ないはずなので腑に落ちません。

 妻は、引き続き航空会社系カードを利用しています。家族カードを発行して欲しいです!!(ただ、キャッシュバックがヘソクリになるので、良い面もあります)

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 Apple Pay対応店舗で、物理カードで支払ってしまうミスがたまにあります。せっかくApple Pay対応なのに、それが分からず物理カードで決済してしまうのです。その場合、ちょっとセコイですが1%損した気分になります。そのミスを減らすために、物理カードで決済するときに「Apple Pay対応店舗ですが、Apple Cardで決済しますか?」というアラートを出して欲しいです。

 以上、3ヶ月使っての感想です。


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