見出し画像

インダストリアル <週末自家現像>

好きな被写体はいつくかあります。まずは人物です。スナップにおける人物は偶然性と時代性が魅力だと思います。スタジオでモデル撮影をしているわけではないので、絶対に同じ条件を作る事ができません。スナップは一期一会です。これは、娘を撮るのも同じです。日々成長する娘を撮るのは、撮った時よりも、1年後、2年後と時が経つごとに写真の価値が高まってきます。スナップ写真は、10年後、20年後に楽しめるタイプカプセルのような存在です。

人工物が朽ちたものも大好きです。時の流れが作り上げるテクスチャは人工物に対するアンチテーゼで、科学技術がどんなに進化しても操作することのできない時間という神秘な存在を感じる事ができます。色彩を排除したモノクローム写真は、擬似的に時を止める効果を生みます。そのため、時の流れが生み出した朽ちたテクスチャを捉えたくなるのは必然かもしれません。

そして、インダストリアルなものも大好きです。工場や団地群など巨大な人工物に圧倒されます。インダストリアルという響きも好きです。子供の時見ていたアニメ「未来少年コナン」に出てくるインダストリアルが原体験として強烈に印象に残っています。最初は悪の存在だったインダストリアルも、中に住んでいる人たちはリアルな存在で、対比として描かれた理想郷ハイハーバーが嘘っぽく感じるほどでした。多摩ニュータウン育ちの団地っ子だからでしょうか。火の鳥「復活編」も、インダストリアル・ファンとしては最高傑作です。

というわけで、ロサンゼルス・リトル東京近くの1st Street Viaductから見た風景は、まさにインダストリアルな光景でした。

画像1

コンクリートの地面に敷き詰められた沢山の線路。全く自然物が存在しない、これぞインダストリアルな風景です。クレーンや高圧電線の鉄塔のデザインも素敵です。

画像2

鉄塔越しに見ると、さらにインダストリアル感が高まります。Elmarit-M 28mm F2.8 ASPHで撮りました。解像力がインダストリアルの凄みを描いてくれます。

画像3

コンクリートの護岸でガチガチに作り上げられたロサンゼルス川。我が故郷、多摩川とは全く違う風景です。手前のグラフィティが、人の温もりを感じさせホッとさせます。街中ではノイズでしかないグラフィティも、このインダストリアルな風景では一輪の花のようです。Summicron-M 35mm F2 ASPHの切れ味が素敵です。

画像4

上空に飛行機が飛んでいました。慌てて撮ったため、水平が取れていませんが、これはこれで良いでしょう。

画像5

インダストリアルな風景の撮影を楽しんで、日が暮れる前にホテルに戻りました。

撮影日:2022年4月10日
カメラ:LEICA MP 0.72
レンズ: Summicron-M 35mm F2 ASPH / Elmarit-M 28mm F2.8 ASPH
フィルム:ILFORD HP5 PLUS
現像液:Kodak HC-110 希釈率H
停止液:水
定着液:TF-4 ARCHIVAL RAPID FIXER
水洗:水
水滴防止剤:Kodak Photo Flo 200
スキャナー:Plustek OpticFilm 8200i SE
スキャンソフト:SilverFast SE Plus 9


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?