見出し画像

Peak Designの三脚を1年間使った感想

Peak Designの三脚「Travel Tripod」を使って、ほぼ1年が経ちました。私は、3脚を3つ所有しています。一つはRRS (Really Right Stuf) TVC 34LとARCA SWISS Z1+の組み合わせ、もう一つがManfrotto BeFree Live 、そしてPeak Designの三脚です。メイン機材として、一眼レフカメラのCANON EOS 5D Mark IVを使っています。ミラーレス一眼は所有していません。

画像1

現在は、Manfrotto BeFree Liveは完全に使わなくなり、RRS TVC 34LとPeak Designの三脚の2本体制で運営しています。Manfrotto BeFree Liveを使わなくなったのは、最近、動画をあまり撮影しなくなったからです。しかし、動画を撮影するならばPeak Designの三脚ではなく、こちらを選びます。左右に振る「パン」や、上下にカメラを振る「ティルト」が出来るビデオ雲台は動画には欠かせない機能で、Manfrotto BeFree Liveはそれを満足させてくれます。動画撮影を多くする人にはManfrotto BeFree Liveなど、ビデオ三脚をお勧めします。Peak Designの三脚は、あくまでも静止画用の三脚です。もしくは、ユニバーサル ヘッド アダプターを使って雲台をビデオ雲台に変えることも可能ですが、そうすると折角のPeak Designの完成されたデザインと操作性が失われ、この三脚の体験価値が損なわれることになります。

コンパクトな設計

1年間使ってみて、この三脚は本当に素晴らしいことを実感しています。米国に住んでおり、ほぼ車移動ということから、日本に住んでいる人ほどコンパクト性を求める訳ではありませんが、それでも軽量コンパクトに越したことはありません。私の場合、RRS TVC 34LとPeak Designの三脚の両方を持ち出して、基本的にはRRS TVC 34をメインにしつつ、トレッキングなど旅行先で移動する時に携行しています。カメラバックの中に入るのも、他人に迷惑にならないし、あちこちぶつける心配が無くて有り難いです。

画像10


唯一無二のデザイン

何よりもこの三脚の素晴らしさは、細部までこだわった隙のないデザインに尽きます。三脚の長い歴史から「三脚とはこういうもの」という常識を全て刷新して、全く新しい定義で三脚を作ったことに価値があります。付属の六角レンチまで手を抜かないデザインに感動します。三脚界のAppleと言っても過言ではありません。

エコシステム

Peak Designの重要な設計思想としてエコシステムがあります。最初の商品Capture Camera Clipは、アルカスイス互換を導入して幅広い客層を捉えました。その後、ワンタッチでカメラストラップを脱却できるAnchor Links(アンカーリンクス)も多くのカメラマンに受け入れられました。そのシステムは様々な商品にも応用され、Peak Designの三脚にも使えます。直接、三脚にAnchor Linksをつけてストラップを装着することも出来ますし、付属のケースにAnchor Linksをつけてストラップを装着できます。


画像9

それだけでは無く、4ヶ月前に購入したPeak Design EVERYDAY SLINGにも括り付けることが出来ます。

画像9

5D Mark IVには常にハンドストラップのCLUTCHを装着しており、アルカスイス互換のSTANDARD PLATがしっかりと雲台にはまり、Peak Designの商品がシームレスに連携していることを実感します。

画像10

このような、Peak Designのエコシステムはうまく考えられており、三脚単体だけではなく、Peak Designの商品郡としてカメラの撮影体験を豊かなものにするのが何よりも魅力的です。おかげで、Capture Camera Clip V3を購入して以降、多くのPeak Design商品を買いました。この三脚を評価するためには、そのエコシステムと合わせて評価するのが良いかと思います。

男心を擽るギミック

センターポールに収納されているスマホホルダーは、これまで使ったことはありませんが男心を擽るギミックとしてナイスな機能です。こういう今時な機能をスマートにデザインするのも、Peak Designのセンスの良さを感じさせます。

付属の六角レンチは汎用ではなく、スイスアーミーの万能ナイフのような格好の良いデザインで、三脚本体にパチっと脱着できるスマートなギミックで凝っています。

三脚としての信頼性

フルサイズ一眼レフのEOS 5D Mark IVにEF 70–200mm f/2.8L IS II USMくらいまでの耐荷重があり、“とりあえず”使えます。しかし、5段目が細すぎて、ちょっと心許ないのが正直なところです。Peak Designのホームページでは、「Deploys to 60in and has a 20lb weight capacity. Built for use with full frame DSLRs and telephoto lenses.」と誇っていますが、あくまでも手持ち撮影をサポートする、という感覚の方が良いかもしれません。望遠レンズでの長時間露光は難しいでしょう。私の場合、EF 70–200mm f/2.8L IS II USM を使うときはRRS TVS34Lを選びます。私の所有機材では、EF 24 70mm F2 8 L II USMまでが最適なバランスだと思っています。

画像5

画像6

他の同クラスの三脚を使ったことがないので比較はできませんが、Peak Designの三脚は、そんなに剛性があるとは思えません。特に5段目の足を伸ばすとかなり揺れます。この三脚は、Peak Designのエコシステムやスマートなデザインによる運用のしやすさなど、総合的な視点で評価するのが正しいと思います。三脚の基本性能だけで比較をするならば、もっと安価で性能の高い三脚があります。

縦位置での稼働範囲の制限問題

大きなネガティブポイントは、縦位置での稼働範囲の制限です。つまり、雲台は自由雲台ではありません。ここは、割り切らなければならないポイントです。風景写真を撮る時は、横位置と縦位置をセットで撮ることが多いと思いますが、この三脚は、縦位置で好きな角度を設定できないので不便です。Lブラケットをカメラ側に装着すれば解決しますが、折角コンパクトにまとめたいのにカメラがかさばるのはコンセプトと逆行してしまいます。この縦位置に対する解決策を導き出して、是非改良版を出して欲しいです。

画像7

縦構図の写真も撮れますが、自由に角度が選べないのでストレスを感じることもあ理ます。

画像8

やはりLブラケットがあると便利ですが、、、。ただでさえ大きい5D Mark IVがより大きくなります。

画像9

おわりに

Peak Designのエコシステムの中で運営するならば、とても魅力的な商品です。私の場合は、Peak Designのエコシステムにどっぷりハマっているので、撮影体験を高める機材として重宝しています。ただ、個人的な感覚ですが、剛性感はメーカーが自慢するほど高いとは思えません。そのため、メインの三脚はRRS TVC 34LとARCA SWISS Z1+で、Peak Designの三脚はサブという扱いです。そういう役割分担も明確すれば、「コンパクトで格好はいいが性能はそこそこ」も問題無しです。

一方、トラベル三脚でも可能な限り性能を追求するならば、他のメーカーの三脚をお勧めします。例えば、価格は高いですがGitzo GT1555Tなど魅力的です。無骨なデザインが素敵です。さらに高価になりますが、RRSの新製品のASCENDも選択肢に入ります。ASCENDは、三角形の断面を持つセンターポールで、Peak Designの三脚同様に無駄な空間を無くす工夫がしてあり、耐荷重も13.61kg (PDは9.1kg)とハイスペックです。本格的なスペックを目指すならば、ASCENDに注目です。






この記事が参加している募集

#カメラのたのしみ方

55,155件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?