日焼け。

肌が白いのはダサい、と考えていたことがあった。

いや、今となっては、全くそんなことは思わないし、むしろ日焼けを避ける人のほうが多いような気もする。それにダサいとかどうとか考えるよりも、昨今の日差しは凄まじいほどの強さで、火傷しようなほどの肌がヒリヒリするから、できるだけ対策を講じる必要があるのだろう。

なぜ肌が白いのはダサいと考えていたのか。これはもう同調圧力というか、そういうものだという思い込みがあった。高校生ぐらいまではそういう考えで生きていたのではないか。野球をやっていたということもあって、いや、野球はあまり関係ないかもしれないが、とにかくぼくを含めた学校にいる人たちは、地肌が白い男子がいると、バカにしていた。「肌、白っ!」「女子じゃん」。とんでもない差別だなと思う。でも、そう本気で思っていたのだ。男はちょっと黒いぐらいの方がかっこいい。おそらくそんな考えが蔓延っていた。

だから日焼け止めなんて塗る男子生徒は、ほとんどいなかった気がする。「男子なのに、日焼け止め塗っているの?」とニヤつきながら、バカにされることをみんなわかっていたのだろう。時代的に、ではたぶんなく、ぼくが通っていた学校が時代遅れだっただけなはず。肌が白い男子は、ひ弱で、女々しくて、気持ちが悪い。そんなイメージを持っていた。

だから、いまだに日焼け止めを塗る習慣がない。もう塗ることに何か抵抗があるわけではないけれど、塗らないことが当たり前だったから、そのままできてしまっている。周りからは「日焼け止め塗らないとダメっすよ」と注意される始末。「いや、昔はバカにされたんだよ」。そう言いたくなるのは、歳をとったということか。高校生だったのが20年近く前になるのだから、そりゃあ、そうか。

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