きれいな星空を観に行きたい。
『鬼滅の刃』の甘露寺蜜璃や『呪術廻戦』の祈本里香など、数々のアニメや映画で声優を務められている花澤香菜さん。彼女がSupercellの『君の知らない物語』という歌をカバーしている動画をYouTube上でたまたま目にした。(ちなみに、『君の知らない物語』がエンディングテーマ曲になっている『化物語』という作品の千石撫子の声優も彼女が務めている。)
聴いてみて一番最初に思った感想は、「懐かしいな」ということだった。Supercell『君の知らない物語』を初めて聴いたのは、確か高校生のとき。カラオケに友達と行って、誰かが歌っていたような気がする。
当時、『化物語』をアニメで観ていたわけでもないし、Supercellのことも全く知らなかった。ただ切ない歌詞に疾走感のあるメロディで、いい歌だなと思ったことは覚えている。
最近はほとんど聴いていなかったのだが、今日聴いてみて、あるときのことをパッと思い出した。大学2年生の夏、サークルで行われた廃校でのキャンプのことだ。不登校児童支援を行うボランティアサークルに所属をしていて、毎年夏になると、子どもたちと一緒に廃校になった学校を一棟丸々借りて、4泊5日のキャンプを行っていた。
何日目の夜だったかは思い出せないが、なんちゃら流星群の活動がちょうど極大になる日で、みんなで星を見に行こうという話になっていた。歩いていける距離にコンビニもなく、街頭すらほとんどない山奥の廃校だったので、辺りは真っ暗。校庭にブルーシートを敷いて、仰向けに寝そべって天体観測をすることにした。
星が降る夜とはこのことかと思えるぐらいきれいな夜空で、流れ星もいくつも流れた。「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」と夏の大三角を指差すことはできなかったが、「あそこで今流れ星が流れたよ」なんて空に指を指していた。
そのときにある子どもが流してくれた曲が『君の知らない物語』だ。普段あまり自分のことを話さない子どもが、「この曲好きなんだよね」と教えてくれた。「そっか、いい曲だよね」と返事をして、しばらく星を眺めていた。
あの子はいまどうしているだろう。ぼくらの活動に参加したことをきっかけに大学進学を決め、ぼくと同じ大学に入り、同じサークルで活動していたところまでは知っている。
元気でいたらいいな。元気じゃなくてもいいけれど。
もうすぐ夏がやってくる。いや、もはや夏かもしれない。どこか星が綺麗に見えるところに行って、Supercell『君の知らない物語』を聴きながら、ぼーっと空を観ていたい。
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