おかゆ。

夜ごはんの用意をしていて、お米を炊いた。これまでに幾度となく、お米は炊いたことがある。そのような慢心があったからだろうか。二合のお米に対し、三合分の水を入れ、炊いてしまった。

出来上がったお米は、べちゃべちゃだった。水が少し多かったかな、では済まない。おかゆに近かった。かたいお米の方がぼくは好きだから、大失敗をしてしまった。おかゆも嫌いではないけれど、べちゃべちゃのお米はやはり美味しくはない。とはいえ、捨てるのは忍びない。仕方がないから、そのまま食べることにした。

べちゃべちゃのお米を食べながら、「昔は定期的におかゆを食べていたっけ」なんて思い出した。なぜかは分からないが、ぼくの実家では、おかゆが夕飯で出ることがあった。家族の誰かが体調不良というわけではない。「今日はカレーだよ」みたいな感じで、「今日はおかゆだよ」という日があったのだ。

母から夕飯がおかゆだと告げられたときには、大変失礼ながら、「えー!!」なんて文句を垂れた。育ち盛りの男の子である。仕方ない。許してやってくれ。おかずはその時々で違ったけれど、ぼくは大体漬物と一緒におかゆを食べた。文句を言った手前、「美味しい」なんて言えなかったけれど、思いの外美味しくて、おかわりしたこともあった。

ぼくは昔から重度の便秘症である。もしかしたら母は、そんなぼくのために消化にいい「おかゆ」を定期的に作ってくれていたのではないだろうか。いや、単にぼくと同じように、入れる水の量を誤ってしまった日もあったのかもしれないけれど。

気づいたら、べちゃべちゃのご飯をおかわりして食べていた。

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