よく行くマッサージ屋さんで。

よく行くマッサージ屋さんで、よくご一緒するご婦人がいる。話したことはない。けれど、店員さんとそのご婦人が話している声を聞くと、「あっ、この人前も前も同じタイミングで来てたのな」と勝手ながらに認知しているのだ。

あまりそういうのを覚えているタイプではないのだけれど、このご婦人はあある特徴がある。店員さんと話す話題がエンタメに関することが多いのだ。ドラマを始め、映画や音楽、漫画についてよく語っている。声から推測するに、60歳を超えているのと思うのだが、昔の作品だけではなく、最近の作品についてもよく語っている。

今日話していたのは、荒木飛呂彦先生の『ジョジョの奇妙な冒険』だった。

「私、『ジョジョの奇妙な冒険』好きなんよ」

「キャラクターがかっこいいですよね」

ジョジョが好きな60歳以上の女性の方に出会ったのは初めてだ。うつ伏せでマッサージを受けながら、耳に入ってきたその言葉に少々驚いた。

「なんでしたっけ、有名なポーズありますよね」

「ジョジョ立ちやね」

おー、と思わず声が出そうになった。ジョジョ立ちも知っているのかと。

「あんなん、実際にやろうと思ったら、身体かたくてできませんわ」

「ジョジョ立ちできるように、ようほぐしてもらんと」

ご婦人はそう言って、ガハハッと笑っていた。

ぼくもエンタメが好きである。めっちゃ詳しいというわけではないけれど、漫画も、アニメも、音楽もそれなりに知っている。けれど、大体自分の世代なら知っているようなものばかりで、古い時代の作品だったり、新しい作品だったりはあまり触れていない。60歳を超えてもなお、新しい作品についても興味を持ち、実際に触れているご婦人は本当にすごいと思う。そうやってえ探求をしているからか、ご婦人の声は若々しい気がする。

エンタメに限らずだが、先入観を持たずにあれやこれやと興味を持ち続け、自分もなるべく若々しくあれたらと思う。

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