なんでも話した思い出の場所。

大学生のころに友だちとよく行っていた和歌山県のスーパー銭湯へ行ったきた。もう何年ぶりだろう。正確にはわからないけれど、かなり久々だったことは確かだ。

何かここにしかない特別な設備があるかと言えば、全くそんなことはない。数種類の内風呂と数種類のサウナ、露天風呂。いたって普通のスーパー銭湯である(もちろん不十分であるわけではない。十分すぎるほど充実しているスーパー銭湯である)。

大学からの距離もほどほどだったこともあって、友だちと事あるごとに足を運んだ。週一でサークル仲間とバレーをしていたので終わった後に行ったり、暇だからとりあえずスーパー銭湯にでも行ってダベろうぜという感じで行くこともあった。

たくさんの話をしたと思う。大学生活のこと、恋愛のこと、将来のことなどなど。裸の付き合いという言葉があるように、身ひとつで一緒に風呂に入っているから話が弾むこともあった。最低でも1時間は入っていたし、長いときであれば2時間ぐらい入っていることもあった。大袈裟に言えば、大学生活のすべてがこのスーパー銭湯に詰まっているといってもいいぐらいだ。

数年ぶりに訪れたスーパー銭湯は、ほとんど変わっていなかった。内風呂も、サウナも、露天風呂も、少し新しくなり綺麗になったところもあったけれど、ほとんど変わっていなかった。そんなところに、大学生のときにはまだ知り合っていなかった友だちたちと入っていて、なんだか不思議な感じがした。あの時とは全く違うメンバーで来ているけれど、自分は何か変わっただろうか。もちろん変わったところはある。でも、根本の部分というか、友だちと話しても話さなくてもいいようなくだらない話をしていることは、全く変わっていない。

確実に歳をとり、老いているのだけれど、スーパー銭湯で「気持ちいい」とか言いながら、友だちとダベっている変わらぬ自分がいることを自覚し、嬉しかった。5年後も、10年後も、こんな時間を過ごせる自分であれたらと思う。

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