機械の機嫌。

パソコンの調子が悪い。もう寿命が近いのだと思う。5年以上使っているのだから、当たり前と言えば当たり前。バッテリーも、冷却装置も、どこもかしこもボロボロだ。

けれど、常に調子が悪いというわけではない。今日は普通に使えていた。調子が悪いときは、パソコンが熱く、ウィーンという音が長い間鳴り続けたりするのだが、そんなことは全くなかった。使っているソフトも同じようなものだし、室内温度もそれほど変わりない。それなのに、どうしてこうも違うのか。パソコンにも機嫌があるのかもしれない。

そういえば、昔、スーパーファミコンで遊ぶときには、よく調子を気にした。一発で起動することもあれば、何度やっても起動しないこともあった。ソフトを本体に差し込んで、スイッチをオン。起動しない。ソフトを抜き出す。端子部分に向かって「フー」と息を吹きかける。差し込む。つかない。それを何度か繰り返す。それでもつかない。「頼む。どうしたんだよ。いける。いけるぞ。次はついてくれ! 頼む」。そんな風に、スーパーファミコンに向かって話しかけていた。機嫌をなおしてもらえるように、励ましの言葉を何度も投げかけた。いま考えてもそんなことで変わるはずがないと思うのだが、不思議とそれで起動することもあった。

パソコンの調子が悪いとき、「まだ大丈夫だよね。もう少し頑張れるよ。あとでゆっくり休ませてあげるから、いまだけは頑張ってくれない? 君ならいけるよ。信じているよ」と話しかけてみようか。何かが変わるかもしれないし、本当に頑張ってくれるかもしれない。パソコンに機嫌などはない、とは言い切れない。モノには魂が宿るのだ。

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