無題。

「頼れる人がいなくて」

昨日、母が電話でそう言っていた。「あぁ、これが孤独というやつか」と思った。熊谷 晋一郎先生の「自立とは『依存先を増やすこと』」という言葉が蘇ってくる。一人で全てを抱え、全てをなんとかする。それは自立では決してなく、孤独なのだと自分の母を見ていると、そんな思いが強くなった。

対して、自分はどうだろう。頼れる人がいないということはないけれど、依存先が多いかと言われればそうでもない。心から友だちだと思える人は、わずか数人。数人いれば十分だと満足していたこともあったけれど、やはり少ないのではないかと少々不安になる。数人の友だちと今後もずっと同じ関係性でいられるかと言えば、そうとは限らない。お互いにさまざまなライフイベントがあり、ひょんなことから全く連絡を取り合わなくなる可能性だってある。そうなれば、いざというときに、頼れる人がいないなんて、母と同じような状況になる。その可能性は決して低くはない。そうなりたくないし、ならないように努力しなければと焦る気持ちもある。

母もきっとそう思っていた時期があったのだと思う。けれど、なかなか周りと上手な関係性を築くことができなかった。不器用な人だから、努力しても、いや、努力の仕方もよくわからなかったんじゃないか。成功体験が積めず、どんどん塞ぎ込み、一人が楽だなんて諦めて、そして今、「頼れる人がいなくて」という状況に陥っているのではないか。

「息子なんだから、お前が支えろよ」という意見もあるだろうけれど、なぜか不器用な部分は母にそっくりで、ぼくもどうしていいかよくわからずにいる。母からの連絡が疎ましい。冷たい人間だと思われてしまうかもしれないけれど、それが正直な気持ちだ。

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