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自然と太れる人にぼくの気持ちがわかってたまるか。

「いっぱい食べるね」と女性に言ってしまって怒られたことは何度もあるが、「いっぱい食べるね」と言われたことはほとんどない。飲み会のときに、お菓子をぼりぼり食べていたら「いっぱい食べるね」と言われたことはある。お菓子ならいくらでも食べられるぐらい好きだ。

いっぱい食べられることも才能のひとつだと聞いたことがある。とても羨ましい才能だ。どれだけ美味しいものでもたくさん食べるとお腹を壊す。次の日がしんどい。ぼくは、紛れもない少食だ。

高校生の頃に野球をやっていて、「そんなに細い体で野球ができるはずない」とコーチかチームメイトから言われたことがある。それで無理やり体重を増やそうと食べる量を増やしていた。2時間目の終わりの休み時間には購買に行って、菓子パンをひとつ買って食べた。親にお願いをして、お昼のお弁当は大きいサイズのものにご飯をパンパンに詰めてもらっていた。部活後の帰り道にも肉まんを買って食べていた。家に帰ってからもご飯を食べ、プロテインも飲んでいた。そのおかげもあってか、今よりも10kgぐらい体重は重かった。ただそれでもやっと標準体型に届くかどうかだ。現在のぼくは痩せ型、いや痩せすぎ型の体型だ。

痩せるほうが辛いのか、太るほうが辛いのか、「人それぞれだよ」という答え以外見つからない議論を誰かとしたことがある。ぼくはもちろん太るほうが辛い派だ。「運動をしたら勝手に体重が落ちる」「普通に食べているだけなら太らない」と好き勝手に自論を展開していたら、盛大に怒られた。「自然と痩せる人に私の気持ちがわかってたまるか」と。自然と太れる人にぼくの気持ちがわかってたまるかと言い返したくなったが、意味がない気がして、「ごめん」とだけ謝っておいた。謝る必要なんてなかったと今でも思う。

テレビで美味しいそうな食べ物をバクバクと食べている人を観ると、とても羨ましい。気持ちがいい。いっぱい食べるなと感心してしまう。ぼくもいつか「いっぱい食べるね」と誰かに言われるぐらい食べてみたいと思いつつ、年々食欲は低下しているのを感じている。


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