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人生はギャンブルで、コメディで、結局「何を選ぶか」だ。

「ツレヅレの内緒話」ですが、今回は全部公開です。

ストリーミング(オンライン配信)という映画視聴が可能になった時代に生きててほんと、よかった。(特に大陸の真ん中の田舎町?にいる私にとって)
そう思う映画だった。実話に基づくというところがまた、とんでもなく面白い。(実話はリタイアシニアが宝くじで大もうけした、という程度?の話だけど)2022年11月21(月)日本テレビ系世界まる見えテレビ特捜部「どうやって?宝くじ9年間で40億円手に入れた夫婦」としても紹介されたらしい。

Jerry and Marge Go Large / ジェリー&マージ 勝利の法則

(Amazon Primeで、北米地域なら「Paramount+」一週間お試しで無料で見られる。先日紹介した、めちゃくちゃ良かったPast Livesも見られます。)

実際の話よりかなり脚色してある(そりゃそうだ)が、見終わって幸せになる映画だ。脚本家素晴らしい!
  *実際の話、はこちらで読みました

とりあえず簡単に映画の素晴らしさを3つほど、どうぞ。

素晴らしさその1:奥さんマージがスゴい

映画の中の女性にはなんとなくいつも同性としての評価をしてしまうが(←ナニモノだよ)、この人スゴいと思った。ぶっ飛び方、その肝の座り方がカッコよすぎる。始まって5〜10分もすればそれがわかるシーンが出てくる。
  私にはできないぞ。カッコよすぎる。

素晴らしさその2:世界中を幸せにする男、主人公ジェリーがスゴい

え、そんな賢い人は進学しないで働くとか、アメリカではほぼあり得ないでしょ、と思うところを(実際の主人公はやっぱりイイ大学出てた)「全てを賭けたくなる女性マージに出会って結婚した」という裏話で納得させる。この選択を出来る男性ってのがまず、カッコよすぎます。

そしてこの宝くじの「欠陥(と敢えて私は呼ぶが)」に気付いてしまったあとの、チキンな初手から段々と確証を手にし選択していく事柄すべてが素晴らしすぎる。これは映画内で楽しんでほしいが、後半でこの「欠陥宝くじ」に気付いたライバル?ハーバード学生にぶつける言葉、カッコ良すぎる。

この彼の信念を聞いたら、年齢見た目関係なく惚れそう(いや、惚れないけど)。ぜひ映画をみてほしいわ〜〜〜〜!

素晴らしさその3:とにかく嫌な気持ちにならない映画ってスゴい!

実話がどうかは知らないけれど、賢いために「上に立つこと」「(表面だけでも)尊敬されること」「儲けること」にばかり気がむいていくエリート学生タイラーが この映画の気分の悪くなるところを全て持っていってくれているので、映画の最後がとにかくハッピーな気持ちしか残らない。

陰謀だとか殺人だとかモノをめちゃくちゃ壊すとか(あ、ボートのエンジンは不注意で壊すけどあれは笑える)映画にはどうしてもそういうのが多いけど、そういうものがなく基本爆笑と爽快感で突っ走る映画。これサイコーです。


(映画内でのこの学生・タイラーの「嫌なやつ設定」がとにかくとんでもない。まぁアイビーリーグにいくというだけで鼻持ちならないほどに賢いやつ+裕福な家に育った子が多いのだが(アイビーリーグ、普通に学費を払うと1年間800万円〜1000万円を超えたりします。1年だよ??)、タイラーの場合「お父さんの名前のついた建物」が学内にある=学費以外にさらに巨額の寄付金をしてる親 で裕福さケタ違いのご家庭。途中で出てくる「超リッチ」なひとたち殿上人に直接会いに行けるあたりで、きっと子供でも特別扱いなスペシャルなご家庭のご子息、と推察される。そしてこいつがまた狡賢く立ち回り、人を見下した笑顔をつくる。・・・ウリー・シュレンジャーっていうこの俳優スゴすぎますよ)

・・・と、とりあえずまとめた?つもりですが。

人生のなかで「変化」というものを、私達は基本的に選びたくない。それが彩りを与えてくれるもの、チャンスを生むものと知っていても「現状維持」のほうが簡単そうだし、そのための言い訳ならいくらでもまともそうなことを並べられる、というのが人間だ。
この映画はその変化を選び、しかもそれが文字通り「ギャンブル」だというのが面白い。そして主人公たちはこのギャンブルを結果がどう転んでも楽しむと決めているから全部コメディになる。

ああ、この爽快感よ。もう全力でオススメしたい映画だった。

さて、当たり前の様に「自分の人生は自分の責任で選ぶのだ」と言われる時代になった。私が子供の頃は違った・・・いや、少なくとも周りから与えられる言葉で社会の認識はまだ違うのだと思っていた。
「親御さん、ご心配ね」
「あらぁ親孝行ね」
「ご家族は皆さん、鼻がたかいでしょうね」
自分の選ぶものは家族が背負うもの、という時代だった。

幸い、そうは言わない両親のもとで育てられたし、あるいは「いや、自分で選ぶんだし 他の人に迷惑な訳じゃ無いんだから私の決めたことに口出ししないで」な娘に、呆れながらも良い意味で諦めてくれていた両親だったというべきかもしれない。

いつだって時代の変化は個々人から始まり、それを理解する集団が増えていく時間が必要で、社会認識が変化するのは大分時間が経ったあとだ。だから自分の責任で選ぶ、は「好きなことを何でもしていい」だと勘違いする若者バカモノがある一定期間量産される。実際は「自分の責任で選ぶ」と「自分の好きなことを何でもしていい」は全く次元の違う世界のことなのに。

それでもここについて、時代が追いついてきた、と感じる事ができるようになった。それはつまり、ちゃんと「選ぶ」の意味する所を考えられる人が確実に増えている、ということだ。そんなときだったからだろうか、この映画はとても響いたし私に色んな事を思い出させたし、あの映画から伝わるバイブレーションを世の中のみんなに感じてほしい、そう思えるものだった。

この映画はコメディだ。アホな選択をする学生が社会的に抹殺されることはないが「家に帰ってこい」という、アメリカの”良いご家庭”の子女には最大の恥となる言葉を親にかけられる。多分どんなに鈍感?なひとでもそこで初めて「あ、彼はなにかの選択を間違ったのだ」と気付く。それもとてもとても深いところで。

人生での選択はずっと続いている。そしてその選択を評価していいのは本人だけだとつくづく思わされる映画だ。きっと主人公のジェリーは、結婚時点ではLoserとまでは呼ばれずとも影口くらいいくらでも言われたはずだ。けれどきっとどの時点でも彼は彼なりのベストを選んで来たのだろう。

振り返れば、ジェリーの選択はまとめて大勝ちだったに違いない。他人はこの派手な宝くじ部分で彼を幸運だと言うかもしれないが、きっと違う。

この脚本の素晴らしさは人生をギャンブル・コメディ・自分の責任での選択に帰着させたところだ。・・・ああ、私の下手な言葉じゃ表現しきれないが。

そうそう、一度もカジノを面白いと思ったことがない私だけど(むしろ嫌い)賭けギャンブルなんて誰もが既にお金じゃなくて自分の人生を賭けてるんだからそれでいいじゃない、って常々思ってた、ということも思いだしたよ。

とにかくみんな、見て!たった1時間半の映画だから。
そして始終笑顔で見られて、あとに大きく心地よい余韻が残るから。

ああ、忘れてた。一番すごいのはこういうことを熱く語りたくなる映画そのものかもね。

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極めて個人的な意見満載。毒を吐くほうではないですが、時々は正直になります。 気付いたらアメリカの田舎暮らしが長くなったので、その実際のところの話なども。

たなかともこの「自分の意見が強過ぎるなぁ」とか、「誰でも読める所に置くのは違うなぁ」というもの、外に出すほどでもないごく個人的なことが入っ…

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