見出し画像

本日もお城(・・・として使ってもらえなかった建物)ホテルの滞在。〜ポルトガル家族旅(14)

思いがけずあちこちでえらく感動していたらコインブラという有名な大学の町に寄っているヒマがなくなり(大笑)、宿に向かいます。
前日はオビドスという城塞都市のお城ホテルでしたが、この日の宿はこれまたお城のホテル・・・ブサコ・パレス・ホテルです。ブサコ国定森林(National forest)のなかにある、本気ものの王宮。くねくねした山道を通り、「こんな小さな町の先に王宮があったの?」と不安になるほど。でもしっかり「ホテルにはこちら」という看板が出てるから大丈夫。

普通の町、を抜けていきます
教会もこぢんまりしてる、山の中の小さな町をすぎて・・・。
どんどん登っていきます。
ホテル手前にあったちょっと立派なお家・・・でも今は人は住んでいないみたい。

ただ、立派なゲートでは宿泊客であることを確認されます。さすが元王宮。

ゲートを過ぎて数百メートルも進んだでしょうか。どどん!今日の宿泊地です。
大きさこそ王宮としては小さめでしょうが、さすがのマヌエル様式の建物!
建物まわりのコリドーを奥まで行きます。レセプションはこの左手のドアをあけたところに。
柱の装飾、そしてすばらしいアズレージョ。ここに王宮をつくろうとしたカルロス一世は暗殺されてしまって住むことはできなかったようです。もう昔から「殺されるかも」と思っていてシントラより山奥のこの地に王宮を建てたのにね・・・
レセプションから奥の大階段前の美しい空間を望む。調度品は当時のまま、インドや中国などからの手の込んだものがたくさん。
これまで世界遺産といわれる教会とかなんとかで見てきたような、素晴らしい装飾が一面に。(正直、あまりの凝りようにコワさを感じるくらい)
どれも博物館レベル。(ほんとに。これは手を触れられないように囲われてました)
吟遊詩人?
ゲストルームのある二階、三階に向かうための、どどどどどん!と立派な階段。これ、ホントにホテルで良いんでしょうか。博物館とかにしたほうが、いいのでは・・・(^_^;)
うわぁ、といいたくなる大階段。壁には素晴らしいアズレージョが。
大階段の踊り場から、2階、3階を眺めます。何というか、隙のない豪華さ。。。
アズレージョにはポルトガルの歴史が刻まれます。
立派なステンドグラス。
大階段の踊り場には甲冑をつけた見張り・・・え。目が光ってませんか???(まじか)
客室階。残念ながらエレベーターは小さいものが1つだけ(主に荷物を運ぶのに使われています)。廊下には歴史を物語る写真や陶器タイルが。天井が低そうにみえるかもしれませんが、各部屋とても天井が高く、バスルームなんて真冬は寒いのでは?と心配するほど。
さて、コインブラを諦めてここに来たのは国定森林を歩けると聞いたから。でもホテルの人には「え・・・今からですか?日暮れになっちゃうので展望台までは車で行った方が・・・」と諭され(残念)山の上までクルマでいきました。遊歩道はたしかに整備されているけれど、コレ歩いてたら真っ暗な中ホテルに帰るようだったわ・・・
展望のきく山の頂上から。天気のせいなのか光が乱反射してあまり遠くまでは見えませんでした。
ホテルに戻って来ました。ホテル周りの散歩に行くとしましょう。
中庭は美しいイタリアガーデン、まだ3月頭なので冬の感じですが。
立派なパーゴラが。育っているのは葡萄でしょうか。
広い庭をぐるりと回れる小径が続いて、ベンチもあちこちにおかれています。
椿、だよね?
イタリアガーデンをはさんでホテル(もと王宮)を望む。
「ここから撮るといい感じでしょー?」的な、額縁がありました。ナイス!
水鳥もたくさん。
この水辺の作り方とか、さすがお城!という感じ。
第二次世界大戦中にはここは超高級ホテルとしてスパイなどの情報交換場所として使われていたとか。こんな山奥まで来て、の情報交換かぁ・・・
マグノリア(紫木蓮・シモクレン)が満開。
庭園をぐるりと回っていくと旧修道院があります。建物の壁に「こんな幾何学模様を????」と思う装飾があるけれど、不思議と素敵なんだよなあ。
博物館になっています(有料)。創設当初は女人禁制、今はもちろん入れますが。(私達が通ったときはすでに閉館時間・・・)
1628年に建設された元カルメル会修道院(サンタ・クルス旧修道院)、白い石英とコールタールの象嵌で覆われた不思議なファサードや、コルクでコーティングされた天井、吹き抜けの石畳の壁などがみられるのだそう。
「ブサコの土地はコインブラ司教からカルメル修道会に寄贈され、修道院が建てられることになった。こうして修道士たちは、自分たちの土地を囲むように5キロメートルの城壁を築き、サンタ・クルス修道院を建て、植生に溶け込ませた。同時に森の中に散策路を開きそこに11の祠を建てて祈りを捧げた。 修道会によって直ちに保存された森は、長い年月をかけて修道士たちによって拡大・改修され、海外の植民地からもたらされた新しい外来種を森に導入したのも修道士たち。そしてブサコは、自然と調和した祈り、自戒、懺悔、観想の場となった。」VisitCenterOfPortugalより
建て方が明らかにパレス・ホテルとは違います。
さて、私達の部屋は3階でしたが、食事をとるため1階のレストランに。2階から1階はアズレージョが見事な大階段をつかいます。てか、こえぇぇよ、あの光る目・・・
森の中のホテルなので、今回は(珍しくww)コースで。でも1人79€とか。安い・・・(アメリカなら1人$200以上+チップ、だよ)
バターはハーブ入り(緑)と黒トリュフ入り(黒)
食堂の天井も美しい・・・さすが王宮として建てられた場所!
食堂の壁も、これまた見事な・・・
一皿目、ホタテ貝のソテー。火の入れ加減が完璧。
二皿目のスープ皿はカニの甲羅をかたどっていて、中に具材が。
この上にエビ(だったかな?)のビスク(煮出したスープ)。めっちゃくちゃ美味しかった!
魚の一皿、スズキだっけ?(忘れた)もうさすがとしかいいようのないハーブの使い方で淡泊な白身魚なのにインパクト大。
最後は鹿肉ソテーの黒トリュフ添え。
デザートはここの名物、オレンジのアイスクリーム
外側のオレンジ色のものはチョコレート。普段ならこの量、4人で分けるくらいだけど(食べきれないし)コースなので頑張った・・・あ、いや、半分くらいは息子に手伝ってもらった 笑
食べ過ぎたので食後、すこし外を歩きました。ガスがかかっていて星はあまり見えない夜。暗いのでごくごくホテルの近くのみを歩いたけれど、寒くなってきたので部屋に戻りました。
本気のお城に泊まる、ということで日本人観光客のグループも来ていて(彼らは朝に私達なんかよりずっと早く出発してましたが)「こんな遠いのにすごいホテルを組み込んでくれるツアーなんだねぇ」と私達もひそひそと。

ポルトガルは歴史的に一部の貴族と王族が富を掌握して自分たちのための政治をしていた(まぁ主に、はお金のあった貴族が、でしょうが)こともあり、一般の人の「王室に対する敬意」みたいなのは低めか・・・?と感じたことが何度かあります。日本人は天皇ご一族にそれでも敬意を持っていると思うのですが、こちらはそういう国民全体の王室に対する気持ちが薄い・・・遠い歴史の中の話、という感じ。気のせいだろうか。

でもね、あれだけ大航海時代に富を得た国が、本気で民のことを考えた政治をしてたら今のポルトガルはもっと大きかったのかもしれないし、それをしなかったから世界の表舞台から段々消えていって終いには独裁政治を生み、そしてカーネーション革命なんかを経たんだろうと考えたり。

日本にいろんな意味で近かったはずのポルトガル。お城がホテルになっていることも含め、これまで見てきたものが いろんな時代のこの国を象徴してたのだろうなとうっすら感じ始めた滞在でした。




この記事が参加している募集

サポート戴けるのはすっごくうれしいです。自分の「書くこと」を磨く励みにします。また、私からも他の素敵な作品へのサポートとして還元させてまいります。