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お金の残像

月謝袋に入っているもの

我が家は自営業です。
夫とふたりで小さな塾を運営しています。

塾では毎月、月謝をいただいています。

今の時代、銀行振込やキャッシュレス決済などが主流になりつつありますが、うちはいまだに月謝袋に現金を入れていただくスタイルです。

その方が、お互いに気軽かつ身軽でいられるからです。

毎月月謝の集計をするときに、お金って面白いなあ、と感じます。

月謝袋には、お金と、お金を使う人のエネルギーが入っています。

月謝袋からお金を取り出して、そのお金を眺めてみると、それぞれの家の「感じ」がなんとなくわかるものです。

お金が語るもの

お金は、けっこう雄弁です。

お札の向きの揃え方。
お札の折れ方、破れ方。
お札についた香り。
小銭の払い方。(100円を50円1枚と10円5枚で払うなど)

何が良い悪いというのではなく、そこに「人」があらわれるのです。

ふーむ、なるほどなあ。

お金の扱い方を見ると、その人が普段、どのようなモノの扱い方や人の扱い方をしているのかが、なんとなくわかります。

それが、その家の子供と接するときの、接し方のヒントになったりするのです。

お母さんが忙し過ぎてないかな?
目は届いているかな?
会話はできているかな?
愛情は足りているかな?
コミュニケーションはとれているかな?

何が足りているのか、何が足りていないのか、どんな生活環境の中で、どんな価値観の中で生きているのか、それをふまえて子供を見てみると、色々なことが納得できたりするのです。

ほんの些細な「感じ」なので、参考程度にとどめてはいますが、塾での子供への接し方に活かしています。

お金に宿るエネルギー

ひとつひとつ、月謝袋からお金を取り出し処理をしたあとも、それぞれ、心にぼんやりと残していくものがあります。

不満だったり、不安だったり、無邪気さだったり、せわしなさだったり、感謝だったり。

一番わかりやすいもので言うと、ピンッとした新札をきれいに揃えて入れていただいていて、お金を処理したあとも、心に感謝だけが残されるものがありました。

うわあーーー。

こういうものをいただくと、感動します。

この月謝袋を持ってきてくれた子は、今のうちの塾の生徒の中では、一番勉強を楽しんでやっていて、ぐんぐん力を伸ばしている子です。

卵が先か、鶏が先か。

真相はわかりませんが、このご家庭が、なんとなく良い流れの中にあることは感じられます。

巡り巡るものだから

「お金は天下のまわりもの」と言います。

考えてみれば、お金ほど、人から人へ、手から手へ渡り、ぐるぐると巡るモノって、他にコレといって思いあたりません。

私は、普段の買い物は、もうほぼキャッシュレス決済です。

でも、現金のやりとりにしかない「趣」というものはやっぱりあるなあ、と思います。

キャッシュレス決済の「数字」にも、エネルギーは宿るのかもしれませんが、モノを扱うときほどは、「想い」に意識は向かないように思います。

だからこそ、今の時代は、自分のひとつひとつの行動に宿る「想い」により意識を向けていないと、激流に流され、ただただ消費し消費されてしまいがちです。

「数字」の向こうにも、生身の人間がいることや、たくさんの「想い」があることを、感じていられる人間でありたいものです。

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