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幼馴染とパートナーシップ制度


11月17日(金)
私の幼馴染がテレビで密着取材されていた様子が流れた。
岐阜県のパートナーシップ宣誓制度、第一号になったからだ。
法律ではまだ認められてはいないが
男性と男性でふうふとなった。

「今晩その放映がされるよ」と連絡がきて、
私はジョイフルというファミレスで
人待ちをしながら、彼がここまで歩んできた道のりを思い返していた。
私が彼からカミングアウトされたのは10年以上前。
20代前半だった。

その時も地元のジョイフルだった。

私は世界一周帰り。moilyを始める前。
どうしてだったか忘れたが、確か久しぶりに彼が声をかけてくれて
それをきっかけに頻繁にファミレスで
何時間もグダグダしゃべる様な関係になっていた。

彼の名前は中村文亮。(私はふみと呼んでいるのでふみと書く)
いつものようにぐだぐだ話していたある日
ふみは珍しく真面目な顔になって
「きよちゃんには話しておきたいことがあるんだ。」
と言った。
そこから言葉に詰まった彼。
沈黙になってしまった。多分5分くらい。

「え?言いたくないことなら言わないでいいんだよ?」
「いや、言いたいの。言いたいんだけど・・・。」
そこからまた沈黙。

心の準備ができるまで時間がかかりそうだな。
何も言わず待とう。と思った。

「ちょっとトイレ行ってきていい?」と彼。
そして戻ってきて。また沈黙。

時間にしてどれくらいだっただろう
30分は経っていた。40分くらいかな。

そして深呼吸をして話し始めた。
「あの・・・。自分。人を殺したまではいかないけど、それと近い同罪があるんだよね。」
と彼は前置きをした。

ふみがどんな人間かは十分知っている。
何か理由があるんだろう。
どんなことがあっても必ず彼の味方でいようと心を決めた。
何を言われても絶対に驚かない。

またしばらく沈黙した後
心を決めた彼はポツリと言った。

「俺、ゲイなんだよね。」

私は拍子抜けした。
ゲイの友達は海外でもたくさん出会っていたから
そんなに珍しいことじゃなかった。

「え?そんなこと。」と思わず言ってしまった。ごめん。
「そんなことじゃないよ!!!!」と怒られた。本当ごめん。

そして彼は続けた
「これが病気だったら世の中はもっと優しく見てくれるのに。」

私は恥ずかしながらそれまで全く気がつかなかった。
同性が好きというだけでどれほど生きにくい世の中なのか。
ふみがどれほど苦しんで生きてきたか。

その日から私は世の中の見方が少し変わった。

それからも私たちは仲が良かった。
ふみは世界一周に旅立ち
日本とは違った文化や社会の中で
自分のような人たちがどうやって生きているのかを知っていった。

それでもやっぱりふみは
「自分は幸せになれない。」といっていた。
ただ純粋に好きな人と結婚して家庭を持つという夢がなかなか見えなかった。

カンボジアにもきてくれた。

そして頻繁に長い長いメンヘラ連絡がきた。笑
同じ熱量で返信をしても、大体それに返信はなく「おい!」って思っていたけど
全力で頼ってもらえているのも、それはそれで嬉しかった。

moily創業期はふみにたくさん手伝ってもらった。
いろんなイベントで一緒に店番をしてもらったし
moilyのコンセプトも一緒に考えてもらった。(後から詳細載せます)

その頃私たちはよく話していた。
「色々あるけど、生きた意味がある人生にしたいね。」

今となっては、意味がある人生を歩む必要があるのか?
なんて思ったりするけれど

その時は私も歯を食いしばってなんとかmoilyを軌道に乗せなければと生きていた時期だったし

ふみにいたっては、そう言わなければなんだか、くたんと折れてしまいそうで、何かふみを奮い立たせる言葉を言わなければいけない気がしていた。

この日本でただ幸せに生きるということがこんなに難しいことなのか・・・。

それからも
ふみはオーストラリアでワーホリもしていたり
東京で働いていたり色々経験値を高めていった。

自分も幸せに生きられる道があるかもしれないと
この辺りで気づいていったように思う。

そしてJICAで青年海外協力隊に行くというタイミングで
ついにふみに彼氏ができた。

仲の良いメンバーを集め
ご飯会を開き紹介してもらった。
それが今回テレビでも紹介されてふうふになったターニー(谷村くん)だった。

そこからふみに会う機会はグッと減った。

なんだか寂しかったけど
ターニーが突然落ち込むふみを支えていると思うと
ふみに頼れる人ができたことが嬉しかった。

たまに会った時にふみが
「幸せすぎてこわい。」と言っていた。
あぁ。こんなことを言う日が来たんだね。
昔のふみ。10年後のあなたはこんなこと言ってるよ。

そしてその次に連絡が来た時には
「ないものを数えるのはもう終わりにして、あるものに感謝していこうと思ってる。」
と言っていた。

ターニーと出会って本当に幸せに暮らしているんだね。
きっとまだまだ苦しいことも、辛いことも、たくさんあるだろうけど
2人で一緒にぶつかっているんだね。

そして今年の9月1日2人は岐阜県で初めての
「パートナーシップ宣誓制度」第一号となった。

昔のふみ。
あなたは今は素晴らしいパートナーと一緒に
昔のあなたのような存在の「光」になっているよ。

私は今ふみが幸せに生きていることが本当に嬉しい。

器用にうまく生きなくても良い。
今までみたいにたくさん落ち込んでも良いし、全然前に進めなくても良い。

でもそうやってふみがぶつかりながらも進んでできたその足跡が
必ず誰かの道になっているから。


これはふみと私の話。
LTBTQだって当たり前だけど
色々な人がいる。


LGBTQとか障がい者とか、外国人だとか。
色々括られて語られる今の世の中だけど
いつかそんな括りすら無くなって
一人一人がただ幸せに生きられる、そんな社会を作っていきたいね。

※ふみがカンボジアに来てくれた後、2人で一緒に考えたmoilyのコンセプト
私の気持ちを、ふみが文章に落としてくれたもの。本当に素敵な文章です。よかったら呼んでね↓
https://www.moily-bk.com/concept


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