見出し画像

人の読書を笑うな

寄り道の寄り道は迷子だし、脱線の脱線は大事故である。とすると、自分の本との出会い方をひと言にまとめると「迷子の読書」、さもなくば「読書の大事故」ということになりそうだ。

というのも、ぼくの場合、ある本を読んでいて突然その中の一節だったり、そこに描かれる地名やら食べものやらに触発されて次の本を選ぶということが毎度お決まりのパターンだったりするからである。じっさい、2冊、3冊と読み進めてゆくうちになぜいま自分がそれを読んでいるのか、もはやわからなくなっていることも珍しくない。完全に現在地を見失っている。

と言いつつ、よくわからないが、よくわからないなりにそんな迷子を楽しんでいるふしもこの自分にはある。じゃあ、そんな迷子っぷりを可視化してみたらどうかと思い、DJのプレイリストよろしくInstagramに本の写真を挙げてみたりもしたのだが、思ったほど面白くもないのですぐに飽きてしまった。思いがけずどこかに飛ばされる、その瞬間風速にのる感覚が楽しいのであって、飛ばされた先は案外どうでもよかったりする。

たとえば、いま読みたい一冊は戦前に出版された「算数」の本だったりするのだが、もちろん数学の歴史について調べているわけではない。言うまでもなく、完全に「迷子」案件である。そして、そうと知っていながら手を出すべきか(当然図書館にはないので古本で買うことになる)どうかかなり真剣に悩んでいる。

では、いったい自分以外のひとはどのようにして一冊の本を選んでいるのだろう? 本屋でたまたま目にしたとか、SNSで誰かが薦めていたとか、そんなあたりか。

ここから先は

2,089字

¥ 100

サポートいただいた金額は、すべて高齢者や子育て中のみなさん、お仕事で疲れているみなさんのための新たな居場所づくりの経費として大切に使わせて頂きます。