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最近はこんなことを考えていた

264.窓を開ける

朝、起きたらまず目覚ましがてらストレッチをして、それから窓を全開にします。窓という窓ぜんぶです。

窓を開けると、季節の移ろいを体感することができます。ひんやりとした空気が、ちょうどいまの季節だったらサーッと部屋に流れ込んできますよね。空気に色はないけれど、なんとなく目に見えるような感じ。

あと、金木犀の香りやなにかを燻したような匂いも少し感じられます。庭でたき火なんていまどき見かけないのに、秋になるとたき火の匂いがする。ふしぎです。

コロナの出現でマスク着用での外出が常識のようになり、こうした「匂い」によって世界を測ることにぼくらは鈍感になってしまいました。目や耳とおなじく、実際ぼくらは物事の存在を鼻でも知覚しているのです。

感染から身を守るためのマスクは、他方でヒトのいきものとしてのアンテナをも覆ってしまう。それによってなにが起こるか? たぶん、少しだけ生きることがヘタクソになっているはずです。

なので、一日一回、朝だけでも窓を全開にして、いま身の周りの世界で起こっていることを「鼻」で感じ取ることは大切だと思います。それに、ちょっと寒くても、だんだんと血がからだ全体に行きわたって「生きてる」という実感が湧いてくるのも朝、窓を全開にすることの効能でしょう。

昨夜たまたま観た『プロフェッショナル』という番組でとりあげられていたとてもストイックな魚の仲買人のひとが、人間はうっかりすると自分が生きものであるということをすぐ忘れそうになると言っていました。

やはり、数日前に観た別の番組では、ドイツの若い哲学者マルクス・ガブリエルが、このコロナ禍のおかげで毎日通っている公園に緑色のインコがたくさんいることや蝶々が舞い飛んでいることに気づいたと話していました。世界から隔絶されたことで、この世界がまた新たな意味をまとって立ち現れたという意味でしょう。

世界がなんとなく遠くに感じられるいまこそ、だから窓を全開にして、これまで漠然と生きていた世界に「いきもの」として再アクセスするべきなのです。

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