ハンナとその姉妹 Hannah and her sisters/ウッディ・アレン
タイトル:ハンナとその姉妹 1986年
監督・脚本:ウッディ・アレン
上映時間:103分
なんだろうこの感覚は。正直ラスト直前まではよくあるウッディ・アレン映画の金太郎アメ的展開に笑いこそすれ、エンドロールが始まると胸に重い物がずっしりと投げ込まれたような、そんな感覚を覚えた。三姉妹が3人とも落ち着くところへ着地する終わり方は、取ってつけたような終幕でウッディ・アレンもスタジオからの要請で渋々つけた内容だったらしいけれど、この終わり方は希望があるように見えて実のところ三者三様にイチモツ抱えながらの着地のようにも思えた。ハンナとエリオットは夫婦仲が破綻しかけていたけれど体裁は取り続け、リーは新たなパートナーと仲睦まじい様にエリオットは未練がましさが残り、ホリーはハンナの元夫とくっつきつつ不妊と言われながらも妊娠にこぎ着ける。どこかアンバランスなバランスを保ちつつ三姉妹とそのパートナーの関わり方はどこか仄暗い感情が拭い去れないビターな物が残る。そんな終わり方だったように思えた。ウッディ・アレンにとっては予期しない終わり方だったのかもしれない。とはいえこのラストがある事でどこか割り切れない気持ちを抱えたまま幕引きになり、どこか不穏さを残しながらその後の展開を想像する。
アニー・ホール以降のウッディ・アレン映画の黄金律を使いながら、インテリアで扱った三姉妹をテーマにウッディ・アレン本人が出演しながりもマイケル・ケイン演じるエリオットもアレンのアルターエゴとして描かれていてふたりの異なるウッディ・アレンを見ているようでもある。マイケル・ケインはどうしても胡散臭さが前面に出てる俳優なので、どうしても終始そこが気になってしまう。
途中話が整理しきれず分かりにくい部分はあるのが少し残念(アニー・ホールはその点キャラクターもストーリーも明瞭さがあった)ではあるものの、すれ違う人間模様は上手く描けた作品だったと思う。
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