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『ウクライナ戦争の嘘 :: 手嶋龍一 (著), 佐藤優 (著) 』 書かれている事はおそらく事実 「十年戦争になるのか?」

この本の購入は以前、ご報告。

購入したKindle本を数冊並行して読み進める中、最初に読み終えたので記事に。

出版社 内容情報

ウクライナに軍事侵攻したロシアは言語道断だが、「民主主義をめぐる正義の戦い」を掲げるウクライナと、米国をはじめとする西側諸国にも看過できない深謀遠慮がある。戦争で利益を得ているのは誰かと詰めれば、米露中北の「嘘」と野望と打算、その本音のすべてが見えてくる。世界は迫りくる核戦争の恐怖を回避できるのか。停戦への道はあるのか。ロシアと米国を知り尽くした両著者がウクライナ戦争をめぐる虚実に迫る。

・アメリカはウクライナ戦争の「管理人」
・ゼレンスキーは第三次世界大戦を待望している?
・英国秘密情報部が「情報」と「プロパガンダ」を一緒くたにする怖さ
・戦場で漁夫の利を貪る北朝鮮の不気味
・ロシアがウクライナ最大の軍産複合体を攻撃しないわけ
・米国とゼレンスキーは戦争を止められたはずだ
・戦争のルールが書き換えられてゆく恐怖
・恐るべきバイデンの老人力
・プーチンが核兵器に手をかけるとき

内容説明

ウクライナに軍事侵攻したロシアは言語道断だが、「民主主義をめぐる正義の戦い」を掲げるウクライナと、米国をはじめとする西側諸国にも看過できない深謀遠慮がある。戦争で利益を得ているのは誰かと詰めれば、米露中北(朝鮮)の「嘘」と野望と打算、その本音のすべてが見えてくる。世界は迫りくる核戦争の恐怖を回避できるのか。停戦への道はあるのか。ロシアと米国を知り尽くした両著者がウクライナ戦争をめぐる虚実に迫る。

目次

第1章 アメリカはウクライナ戦争の“管理人”
第2章 ロシアが侵攻に踏み切った真の理由
第3章 ウクライナという国 ゼレンスキーという人物
第4章 プーチン大統領はご乱心なのか
第5章 ロシアが核を使うとき
第6章 ウクライナ戦争と連動する台湾危機
第7章 戦争終結の処方箋 日本のなすべきこと

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784121507969

感想

改めて感じたのは、国内報道(特にTV)のいい加減さ。
情報を伝えることを生業としている筈なのに、何も本当のことを伝えていない。 
本件に限ったことではないのだが。
 
用心深く選べば、事実はネットにいくらでも載っている。
どんな言語のリソースも、ブラウザの機械翻訳で意味を読み取ることができる。
 
この本の内容は進行中のことなので、個人的なコメントはしないが、佐藤氏のあとがきに同意するし、誰かが(言うべき誰かが)停戦の提案をしない限り、この戦争は21世紀の「10年戦争」になり、最悪の事態を招くきっかけになるのかも知れない。

確認事項(著書から引用)

ウクライナ戦争の嘘 :: 手嶋龍一 (著), 佐藤優 (著)

少し長いが佐藤氏のあとがきから、引用させていただく。

ロシアがどのような理屈をつけようとも(中略)、ロシアの行為は、ウクライナの国家主権と領土の一体性を毀損する国際法に違反する行為だ。この国際法には、当然、国連憲章も含まれる。
 
ロシアは拒否権を持つ国連安全保障理事会の常任理事国だ。国連安保理の決議がなくては、侵略の認定もできないし、制裁を加えることもできない。国連という制度において、常任理事国が侵略国になることは想定していない。想定していないことが起きたのだから国連が機能不全になるのも当然のことだ。
 
そのような状況でアメリカの一極主義が加速した。アメリカは、民主主義という価値観に基づいた西側連合( ≒グローバルノース)によって一方的にルールを定め、ロシアのプーチン政権を弱体化することを決めた。
 
ウクライナ東部のドンバス地域(ルハンスク州とドネツク州)に居住するロシア系住民の処遇を巡る地域紛争が、アメリカの介入によって民主主義 vs.独裁という価値観戦争に転化した。
 
戦争開始から約 6ヵ月は、ロシアは「ルガンスク人民共和国」と「ドネツク人民共和国」からウクライナ軍を駆逐し、二つの「独立国家」による領域全体の実効支配を獲得することを戦争目的にしていた。価値観ではなく、領土獲得が戦争目的だった。
 
これが同年9月に変化した。ロシアも価値観戦争に目的を転換したのだ。ロシアがウクライナのルハンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソンの 4州を併合する決定を行った際にプーチン大統領は、西側連合に悪魔崇拝(サタニズム)の傾向があると非難した。これが分節点だった。
ロシアにとってこの戦争は真実のキリスト教(正教) vs.悪魔崇拝という価値観戦争になったのだ。
 
キリスト教においては、すべての人間が罪を持つと考える。罪が形をとると悪になる。悪が人格化すると悪魔になる。

アメリカのバイデン大統領からすればプーチン大統領は 21世紀に地上に現れた悪魔なのである。プーチン大統領からすれば、バイデン大統領は大サタン、ウクライナのゼレンスキー大統領は小サタンなのだ。
私の基礎教育は(プロテスタントの)キリスト教神学だが、ウクライナ戦争にはキリスト教の否定的側面が端的に表れている。
 
悪魔との妥協は成立しない。
西側が兵員の派遣を含む本格的介入を行えば、ウクライナ全土(クリミアを含む)からロシア軍を駆逐することは可能だ。それのみならず二度と他国を侵略することがないようにロシア国家を分断し、弱体化することもできると思う。
 
しかしアメリカはその選択に踏み込まない。ロシア国家が存亡の危機に瀕した場合、ロシアは核兵器を使用すると明言しているからだ。その場合、戦術核だけでなく、ワシントン、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコなどのアメリカの主要都市を戦略核で攻撃することもロシアは辞さない(ロシアは南極回りで北米大陸を攻撃できるサルマートという大陸間弾道ミサイルを持っている。このミサイルを迎撃することは現在のアメリカの防空能力では難しい)。
 
従って、アメリカを中心とする西側連合は、アメリカがロシアと直接交戦することを避けるという条件の下でしかウクライナを支援しない。このようなアメリカによって「管理された戦争」で、ウクライナ軍がロシア軍を駆逐し、 1991年の国境を回復することは不可能だ。客観的に見てアメリカの戦争目的は、ウクライナを勝利させることではなく、ウクライナを使ってロシアを弱体化させることだ。
 
(中略)
 
この対談で 1人でも多くの人にウクライナ戦争の真実を知っていただきたい。

『ウクライナ戦争の嘘 :: 手嶋龍一 (著), 佐藤優 (著) 』


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