「成瀬は天下を取りにいく」 宮島未奈(著) あとがきのあとがき [日経新聞]を読んで、改めての感想
この本、読んで直ぐにレヴューし、多くの方にお読みいただき、地元に住まわれているAkioさんから聖地巡礼の記事を上げていただいた。
Akioさんの記事はSmartNewsにも掲載された。
連休初日、日経の読書欄「あとがきのあとがき」コーナーにインタビュー記事が掲載されていた。
こちらはGW前の、丸善・丸の内本店フィクションランキング
日経記事を読み、改めての感想
「最近の文芸は、暗く重いものが多いと感じる。明るく楽しい話を書きたかった」(あとがきのあとがき)
とても同感。
世相を反映しているのか、明るい話の本は少ない。
村上春樹氏の「街とその不確かな壁」も、愛読書「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」との関連性がなければ、自省感が強いこの本は買わなかったと思う。
生きている限り、出来れば明るく楽しく過ごしていきたい。
現実の世界環境は厳しく、ニュースや報道を見てもなかなか明るくはなれない。逃げ込むわけではないが、本や映像は面白いもの、楽しいものに触れていたい。
「成瀬は天下を取りにいく」の中で主人公の成瀬は、コロナ禍で中学校や街のイベントが無くなる中で、通い慣れた地元の西武百貨店も無くなるのを知り、行動を起こす。
そこからの彼女の言動が潔くて気持ち良い。
21世紀に入り、行動基準の優先順位に「損得」が重みを増す時代。何の得にもならない、成瀬の行動は惹かれるし羨ましく感じられる。
明治維新後、産業・経済の中心地となり、多くの勤め人が通う丸の内。そこにある丸善本店で「成瀬は天下を取りにいく」がロングセラーなのは、彼女の行動に憧れる大人たちが多いからなのかもしれない。
MOH