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『新世界より/貴志祐介(著)』をKindleで思い出し 『エンタテインメントの作り方/貴志祐介(著)』を読んでみる

この物語、文庫本になってから書店で上中下巻を買い求めたと思う。
Kindleの注文履歴を見ると、時を置かずに(2012年10月)3巻の注文履歴が残っている(扉絵はその表紙)。

何故、そのような買い方をしたのかは不明。
今は合本版がある。

内容紹介

【上巻】
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を連縄で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力」を得るに至った人類が手にした平和。念動力の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。
(講談社文庫)

【中巻】
町の外に出てはならない――禁を犯した子どもたちに倫理委員会の手が伸びる。記憶を操り、危険な兆候を見せた子どもを排除することで実現した見せかけの安定。外界で繁栄するグロテスクな生物の正体と、空恐ろしい伝説の真意が明らかにされるとき、「神の力」が孕む底なしの暗黒が暴れ狂いだそうとしていた。
(講談社文庫)

【下巻】
夏祭りの夜に起きた大殺戮。悲鳴と嗚咽に包まれた町を後にして、選ばれし者は目的の地へと急ぐ。それが何よりも残酷であろうとも、真実に近付くために。流血で塗り固められた大地の上でもなお、人類は生き抜かなければならない。
構想30年、想像力の限りを尽くして描かれた五感と魂を揺さぶる記念碑的大傑作! PLAYBOYミステリー大賞2008年 第1位、ベストSF2008(国内篇)
(講談社文庫)

講談社BOOK倶楽部

コミック、アニメにもなっている。
チラ見したことはあるが、原作イメージとの違いを感じて観ていない。

この物語が気に入り貴志祐介氏の著作を何冊か購入したが、読了していないはず。

青の炎』『黒い家』『クリムゾンの迷宮』『天使の囀り
確認すると購入後、どれも Kindle Unlimitedになっていた。

感想

この小説は読了してから時間が経つが、上の解説を読むと物語が頭の中に蘇る。

当時、舞台となった神栖市に所用で度々訪問していたのが、読み始めのきっかけだったと思う。
当たり前だが現地は小説とは異なり、鹿島コンビナートが税収の柱となる人口10万人の地方都市である。
東京駅から高速バスで90分の距離(鹿島セントラルホテル着)。


小説の始まりは主人公が、能力者による事変を振り返る形で始まる。

幼少期時代に姉が消え、その記憶も消されている。学校に通い始めると友人が消え同じように記憶が消されている。全ては悪鬼予防のための選別。

バケネズミを使役して人間は労働をしていない。
興味のある方は、次のリンク先にある説明が詳しい。


エンタテインメントの作り方(角川新書)

貴志祐介氏の著作欄を見ていたら、興味深い本を見つけた。

小説を書き始めた頃「小説の書き方」タイトルの付いた本はよく手にしたがどれもピンとは来ず、そのあと手にすることはなかった。

考えてみると、当たり前なのかも知れない。
その類いの著者は『××講師』肩書きの方が多く、自身で(話題になる)小説を書いていない。

ライブ(人に聴かせる演奏)をやったことのない人から、楽器演奏を学ぶのと同じで、最低限のやり方を学べたとしても、そこから先は自分で(どう作るのかを)考えなければならない。

この本は『新世界より(第29回日本SF大賞受賞)』という超長編(1000頁超)作家が書いたハウツー本というよりも、自身の小説の書き方を整理してまとめたものだと思う。

読んで『うん、うん。そこはそうだよね』と納得するところも多い。
総じて生真面目な作家さんであることが伺える。

出版社内容情報

「売れる小説」はどうやったら書けるのか、書くべきなのか……アイデア、プロット、キャラクターなど、小説を書くための必須テクニックをベストセラー作家・貴志祐介が惜しみなく伝授する、唯一無二の創作論。

内容説明

エンタテインメント小説の書き方には、明確なルールがある。数々の文芸賞を受賞し、『黒い家』『悪の教典』など、映像化作品も多数生み出した人気小説家・貴志祐介が、“売れる小説”の創作テクニックを余すところなく開示。読めば小説の書き方が劇的に変わる、小説家志望者なら、必ず読むべき、目からウロコの「小説の書き方」論。

目次

第1章 アイデア
第2章 プロット
第3章 キャラクター
第4章 文章作法
第5章 推敲
第6章 技巧

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784040821818

小説を書いていく上で、特別なことはしておらず「コツコツ」と地道に物語を作っていく姿が書かれている。
 
出てくる説明事例が、書いた小説の振り返りで(『新世界より』を1000年後の未来にした理由とか)、読んだ本の舞台裏が分かる面白さもある。
 
参考までに「第一章 アイデア」の目次を上げておきたい。

第一章 アイデア

アイデアは降ってこない
「もし○○が××だったら」という発想を持て
アイデアの“消費期限”
想像力の限界に挑む
防犯探偵・榎本のモデルとの出会い
アイデアの磨き方
物語に没入した原体験
初めての小説執筆体験
デビュー作『ISOLA』を書いたときのこと
『黒い家』の発想はこうして生まれた
職場は最高の情報源

エンタテインメントの作り方/貴志祐介(著)


『読めば小説の書き方が劇的に変わる』とは思わないが、エンタメ系の文章を書く方が読めば、物語を構築していく上での気づきにはなると思う。

MOH

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