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プレイヤー名に闘魚+って付けてくれたら30万円払います。ゲーム配信サイトの奇策と正攻法
きょうのテーマはライブ配信。この分野では、TikTokとビリビリ動画が注目を集めていますが、ゲーム中継の分野で成り上がった闘魚(DouYu)の物語が面白かったので、これを紹介しようと思います。
動画サイト AcFun (AnimeComicFun)の生放送機能が分離独立する形で生まれた闘魚は、ニコニコ動画で有名な弾幕機能を実装したゲーム実況プラットフォームとしてスタートしました。
出来たばかりのプラットフォームでは知名度のアップが課題になります。そこで闘魚では、人気ゲーム「League Of Legends(LoL)」の高レベルプレイヤーに声をかけました。
「名前を『闘魚+●●(元の名前)』に変えてくれたら、一人2万元(30万円!)差し上げます」
闘魚がターゲットとするゲーム中継の分野において、LoLは大きな影響力を持ちます。そのプレイヤーが注目するプレイヤーたちの名前が次々「闘魚+」に変わっていったら...
そんな奇策の効果もあってか、闘魚の視聴者数は順調な増加を続けます。2014年4月に5万人だった視聴者数は、半年で100万人に到達しました。
その後も、闘魚はあの手この手で有力配信者を招聘します。eスポーツのプロ選手、国外の神レベルプレイヤー、美女配信者軍団…
奇策と正攻法
そもそも動画サイト AcFunから始まった闘魚、副総裁は元ゲーム配信者だったこともあって、そういうコネクションがとてもうまかったのです。高画質化、弾幕など、ゲーム配信者の好むポイントを抑えつつ、フカヒレ(投げ銭機能)で直接的に稼ぐ方法を提供したことで、闘魚は一気に大手配信サイトに躍進しました。
一方CEOの陳少杰さんが語るところによると、この躍進は「タイミングがポイントだった」と語ります。ゲーム実況業界全体が始まったばかりのタイミングで、奇策をつかって配信者を集めつつ、市場にゲーム実況とはなんなのかの教育を進めたのだと。ゲーム実況が一般的になった現在、同じことをやってもきっとうまく行かないよね、と。
闘魚の躍進は、「正を以て合い、奇を以て勝つ」(まず正攻法で布陣して、そこに奇策を交えて勝つんだよ)という孫氏の兵法に従った戦い方だったのかもしれないですね。
この記事は
「中国ユニコーン列伝―シェアリングエコノミーの盛衰」という本の宣伝のために書いています。躍進を続ける中国IT業界、その歴史をまとめた本で、この記事に書いたような特定企業の躍進、市場の分析とその未来などについて語った本です。ベンチャー企業が躍進する物語はいつも面白いですが、そこに中国特有の無鉄砲とか政治の介入なんかを読み取ることが出来て、とても興味深い本に仕上がったと思うので、ぜひ買って読んでみてください。
連続で書いてきた中国ユニコーン列伝は、残り一章「工業のシェアリングエコノミー」を紹介して終わりです。過去の記事を見たい方はマガジンからどうぞ。
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