カレーのように朗らかに
最悪のスタートを切った月初め。
なんだかタイミングが悪く、すべてが悪いほうへと転がってしまった日。
こんな日も時にはあるさ、と自分を慰めてはみるものの、やはり気分がすっきりしない。
そうだ。
こんな日はカレーに限る。
カレーを食べながらくよくよなんてできない、と前にラジオDJが言っているのを聞いて、なるほどな。と感心した。
確かに、カレーを暗い気持ちで食べることなんてできない。
元気に、朗らかに。
そんな空気が似合うのが、カレーなのだ。
お気に入りのカレー屋さんは定休日だから、こうなれば自分で作ろう。
玉ねぎを焦がさないように炒めて、ちょっと奮発した牛肉を入れて。
カレールーは、なんて便利なんだろう。
適当に作っても美味しくでき上がる。
仕上げに台所にあったスパイスを、適当に放り込む。
辛い。
少しカイエンペッパーを入れすぎたか。
それにしても、「カライ」と「ツライ」が同じ漢字だなんて。
でも、美味しい。
少し硬めに炊いたご飯と、どろりとした辛いルー。
スプーンが止まらない。
サラダなんて準備していない。
今日はカレーと向き合う日。
あっという間に食べ終えると、なんだか無心になっていた。
うん。今日もカレーは辛くてウマい。
ぐいっとガラスのコップに入れた水を飲み干す。
毎日、こうやってなんとか折り合いをつけて生きているんだ。
ちょっとくらいの失敗や、躓きなんてきっとどうにでもなる。
どうにもならなくても、命まで取られるわけじゃない。
そうカレーのように朗らかな気持ちになって、僕はソファに寝ころんだ。
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