仕事の心がまえ
先日、ヨーロッパから支社の人が来てミーティングを行った際に、新入社員の女の子が悔しさと悲しさで泣いてしまったことがあった。社長たちを含めて朝から和気あいあいとした活発な議論が終わり、さぁランチ休憩だ!ピザ食べよ!という流れで、
「Tee.さん…………!」
と目が合うなり、彼女の目から、ボロボロと涙があふれ出したのだ。
彼女は、他のもともとうちの商品が好き好きでたまらずに入社した人達と比較して、製品に関する知識も経験も乏しい。その自覚や負い目が強いからこそ、語学のことでなら役に立ちたい/挽回できると思っていたのに、次々と交わされる会話をどう訳していけば良いのか言葉に詰まってしまい、「得意分野でも皆の役に立てないの」かと悲しくなってしまったようだ。
極めて業界的、専門的な話を外国語で理解することも大変だし、なんとか理解したことをすぐに日本語にして他の人へ向けて「周知するように話す」こともとても大変。こういった通訳の作業も経験やトレーニングが必要なので、すぐにできなくて当たり前なのだけれど、彼女の気持ちは痛いほどわかる。自分が入社した頃にも、全く同じ悔しさや絶望感を持っていた。
彼女を筆頭に、現在のチームのメンバーはモチベーションがとても高い。実務の作業手順だけでなく「Tee.さんはどうやって勉強していますか」「どんな風に考えてますか」といった姿勢や考え方の部分まで質問し、学ぼうとしてきてくれる。
私は仕事観など偉そうに語れる力量もなければ、そもそも大した人間でもないので、そんな時はたまに「私ならこんなふうに考えるかな」「これはこう思うよ」といった会話を織り交ぜながら伝えることを心がけていた。
しかし今回、彼女の心からの悔しさや不安を前にして、自分なんて大したことがないからこそ、考えや経験を出し惜しみしてる場合じゃないな、とも思った。そこで、彼女たちに少しでも役に立てばと、「私が仕事をするうえで意識していること・大切にしていること」を10の項目でまとめてみることにした。
後輩たちには、それぞれの項目に解説やエピソードなどの補足を書いて渡している。小っ恥ずかしいが、日々考えたり自分を律する時に考えていることを、正直に書いたつもりだ。メンバーたちからはTee.式鬼十則、と名付けられている。
新入社員達にとって、「初めての上司」というのは人生でたった1人であり、その人から受ける影響はとてと大きい。この人のもとで社会人人生をスタート出来てよかったな、大事な心がまえを学べたな、と思ってもらえるように、私自身がもっともっと気をひきしめていかなければならない。私が学んだこと、役立つと思うことは全て差し出したいと思う。
悔しいこと、悲しいこと、嬉しいこと、これからたくさんたくさん経験していってほしいし、その中で、この項目のどれかひとつでも、彼女たちの心を支えることが出来たらいいなと思う。
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