分類別古単no.25:感動・情趣
25■おもしろさ・感動・情趣
受験生のための単語リストです。
ここでは「おもしろさ・感動・情趣」というニュアンスを持つ語を集めてみました。
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■次の語の意味をA→Bで確認!
A 単語リスト
1・あはれなり
2・をかし
3・ゆかし
4・おもしろし
5・こころ
6・こころあり
7・こころなし
8・けしき
9・けはひ
B 語義と語感
1・あはれなり
①おもむき深い
②かわいい・いとおしい
③気の毒だ・寂しい
④しみじみと(連用形で副詞的に下にかかる場合)
2・をかし
①趣がある・風情がある
②かわいい・優れているなど
■→あはれなりは心がゆすぶられることである。本居宣長は「ああハレ」だと言う。それに対し、をかしは知的な感動・おもしろさを表す。心・頭の対比を念頭に置くとよい。両語とも広く文脈に合わせて、情趣があるなどプラスに解釈したいが、あはれなりには現代語の哀れに通じる意味もある。また、あはれに~と連用形で下の語を修飾する場合は、しみじみと~のように心が揺れる思いとして解釈したい。
3・ゆかし
①見たい・聞きたい・知りたい
②心惹かれる・慕わしい
■→ゆかしは「行かし」、すなわち、そちらへ行きたい(行って見たい・聞きたい・知りたい)という好奇心が基本。
4・おもしろし
①趣がある・風情がある
②楽しい・興味がわく
■→おもしろしは、面(おも)+白・著(しろ)しで、目の前が明るくなる感じ。事物の視覚的美が音楽や宴などの楽しい気分を表すようになった。
※以下はおもしろさとは少しニュアンスが違うが関連語として触れる。
5・こころ
➀心・心情・気持ち
②思慮・考え
③情趣・趣向・風流
④意味・内容
■→「こころ」は多義語で文脈によるが、四つの意味を押えたい。①は心の働き・②は頭の働き・③は情趣の理解・④は事物の内部にあるもの。④は歌論などに頻出する。なぞかけで「○○とかけて○○と解く、そのこころは?」の「こころ」だろう。
6・こころあり
7・こころなし
■「こころあり・こころなし」は、上の「こころ」の①~③の有・無であると押さえる。
8・けしき
➀自然や人の様子
②機嫌・意向
9・けはひ
=雰囲気
■→「けしき」は目で捉える様子(自然・人→機嫌)・「けはひ」は音や匂いで捉える雰囲気
■例文で演習!
C 例文
烏のねどころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛びいそぐさへあはれなり。
あはれにこころぼそし。
夕霧立わたりて、いみじうをかし。
けずることをうるさがりたまへど、をかしの御髪や。
若き老いたる、さるべき人々、ゆかしきことかなとささめき合ひたり。
昔のなごりも、さすがゆかしくて、手慣れし琴を弾くほどに、
年の内の節会どものおもしろく興あるを、
月のいみじうおもしろきに、
伝え聞きてこころを動かすこともあめり。
こころなしと見ゆるものもよき一言いふものなり。
こころあらん友もがな
心なき身にもあはれは知られけり鴫たつ沢の秋の夕暮
されば、こころも得で、互いに顔どもをまぼりて
かくて明けゆく空のけしき、昨日に変はりたりとは見えねど、
かぢとり、けしき悪しからず。
春宮よりも(妻にしたいとの)御けしきあるを
秋のけはひ入り立つままに土御門殿のありさま、言はむ方なくをかし。
D 例文の解釈
烏がねぐらに行こうとして、三羽四羽、二羽三羽など急いで飛んで行く様子までしみじみとした趣がある。→文法:さへ=添加の副助詞
しみじみと心細い。
夕霧が一面にかかって、とてもおもむき深い。
とかすことを嫌がりなさるけれど、かわいらしい御髪だこと。→文法:や=詠嘆
若い者も老いた者も、りっぱな人々も、「見たいものだなあ」と、ささやき合った。
昔の思い出が、そうはいうもののやはり懐かしくて、手慣れた琴を弾いているうちに、
一年のうちの数々の節会の楽しく興味ある様子であるのを
月がたいそう風流な(美しい)時に
伝え聞いて心を動かすこともあるようだ。→文法:あめり=「あんめり」の撥音便無表記
(武骨で)思慮がないと見える者もよい一言を言うものである
情趣を解するような友人がいたらなあ→文法:もがな(願望の終助詞)
出家して情趣を理解しない自分のような身であっても、しみじみと秋の情趣が感じられることだ。鴫が飛び立つ秋の夕暮よ。→文法:れ=自発
すると、意味も分からないでお互いに顔を見つめあって
こうして明けゆく空の様子は昨日と変わっているとは見えないが、
船頭は機嫌が悪くない。
皇太子からも(妻にしたいとの)ご意向があるのを
秋の雰囲気が深まるにつれ土御門邸の様子は言いようもなく趣がある。
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