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分類別古単no.41:普通・普通でない

41■普通・普通でない


受験生のための単語リストです。
ここでは「普通・普通でない」というニュアンスを持つ語を集めてみました。
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■次の語の意味をA→Bで確認!

A 単語リスト

1・なべて
2・おろかなり
3・おぼろけなり
4・なのめなり
1~4の打消、なべてならず・おろかならず・おぼろけならず・なのめならずは、普通でないという意。ただし、それが鎌倉以降、おぼろけなり=おぼろけならず・なのめなり=なのめならずとして用いられたことは注意。

B 語義と語感

1・なべて
➀一般に・総じて
②普通の(なべての+体言)
■→なべては並べて(みんな並べて)の意から、①総じて・②(なべての+体言の形で)普通の意を表す。「おしなべて」という言い方がある。■なべてならずは、その打消しで普通でないという意。

2・おろかなり
=いい加減だ
■→おろかなりは疎かなり(不十分・いい加減だ)の意から普通でないに通じる。■おろかならず・おろそかならずはその打消。

3・おぼろけなり
➀並々である・普通だ
②並大抵でない・並々でない・格別な
■→おぼろけなりについては、「おぼ」から朧月夜の「おぼろ=おぼつかなし」をイメージするとよいが、ぼんやりしていて特徴がない意から、「並」を連想。■また、②は形容詞・形容動詞の語幹に格助詞の「の」が付き連体形の働きをする用法。■おぼろけならずはその打消だが、やがておぼろけなりおぼろけならずと混用され、並々でないと使われるようにもなった。

4・なのめなり
➀いい加減だ
②普通だ
■→なのめは、「並々」から「なのめ」変化し、「斜め」(水平垂直に対していい加減なもの)というニュアンスを帯び、普通・いい加減という意となる。■なのめならずはその打消だが、おぼろけなりと同様に、なのめなり自体が並々でないと意味で用いられるようになる。こうした変化はけしからずなどにもみられる。

■例文で演習!

C 例文

  1. なべて心やはらかに、情けあるゆゑに、人の言ふほどのこと、けやけく否びがたくて、

  2. なべてのひさごに似ず大きに多く生りたる

  3. おぼろけならん人をば見じ

  4. おぼろけの紙は張るまじければ、もとめはべるなり。

  5. 泣くさまおぼろけならず

  6. おぼろけの願によりてにやあらむ。風も吹かず、よき日出で来て

  7. わが娘は、なのめならむ人に見せむは、惜しげなるさまを、

  8. 主上御嘆きなのめならず

D 例文の解釈

  1. 一般に心が穏やかで、人情があるために、人の言うようなことを、きっぱりと断りにくくて、

  2. 普通の瓢箪とは違って大きくてたくさんの実が生った

  3. 並一通りであるような人とは結婚するまい。→文法:じ=打消意志

  4. 普通の紙は張ることができないだろうから、(格別な紙を)探しています。→文法:まじけれ=不可能

  5. (女の)泣く様子は並一通りでない

  6. 格別な祈願によってであろうか。風も吹かず、最高の太陽が出てきて、→文法:にや=断定+係助詞疑問

  7. 自分の娘を、平凡な男と結婚させたとしたら、いかにも惜しい様子であるのを、→文法:む=仮定

  8. 帝はお嘆きが並々でない


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