分類別古単no.21:プラス人物評価
21■人物評価(プラス)
受験生のための単語リストです。
ここでは「プラスの人物評価」を表す語を集めてみました。
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■次の語の意味をA→Bで確認!
A 単語リスト
1・めづ
2・めでたし
3・めづらし
4・はづかし
5・こころにくし
6・まめまめし・まめなり
7・あらまほし
8・すきずきし
9・らうらうじ
10・あいぎゃう
11・おいらかなり・おほどかなり
12・ありがたし
13・よし(よろし・あし・わろし)
B 語義と語感
1・めづ
①褒める・感嘆する・称賛する
②好む・気に入る
2・めでたし
=すばらしい・称賛に値する
3・めづらし
=新鮮だ・目新しい
■→「めづ」の二つの漢字(賞づ・愛づ)から、感嘆・称賛・愛着をイメージする。そのニュアンスから、「めでたし」は「めでいたし」の略で「甚だ賞賛すべきだ」、併せて、「めづらし」を稀にしか見られない様子と覚えたい。もちろん人物評価のみではない。
4・はづかし
①相手が立派だ
②気がひける・きまり悪い
■→現代の「自分に対する恥ずかしさ」+「相手の立派さに対する恥ずかしさ」。後者が大事。
5・こころにくし
=奥ゆかしい・心惹かれる
■→ねたましいほど相手が優れていること。奥ゆかしい。「はづかし」が「こちらが恥ずかしくなるくらい相手が立派だ」というニュアンスであると同じように、「にくい」という語感からマイナスの語に取らない。
6・まめまめし・まめなり
①真面目だ
②実用的だ
■→漢字では「実なり・忠実なり」だが、そのもとは「真実(まみ)・真目(まめ)」だったと考えられている。単純に「真面目」とおぼえればいい。「実」=「まめなり・まめびと・まめまめし」。対義語は「徒」=「あだなり・あだびと・あだあだし」。②の「実用的だ」は試験では狙われやすい。
7・あらまほし
=こうありたい・理想的だ
■→「あり」に希望の助動詞「まほし」がついていると思えばいい。こうありたい、すなわち理想的だ。
8・すきずきし
➀色好みだ
②風流だ
■→「好き」を二つ重ね、異性や物事に深く関心を寄せる様子を表す。対象が異性であれば色好みであること、物事であれば風流だの意味になる。色好みというと女好きというマイナスのニュアンスを感じてしまうかもしれないが、大事な貴族男性の姿勢でもある。
9・らうらうじ
=洗練された・気品があって美しい。
■→労労じであり、経験・教養によって洗練された様子。
10・あいぎゃう
=優しく温和
■→愛敬:慈しみ尊ぶ意の仏教語。愛らしい。優しく温和な魅力。
11・おいらかなり・おほどかなり
=おっとりしている
■→ともにおっとししていることだが、「おいらかなり」は自分の感情を抑え、穏やか、素直に振る舞う様子であり、「おほどかなり」は世間や男女関係に疎いおっとりした様子を表す。
12・ありがたし
=めったにない・優れている
■→「有り難し」の文字通り、めったにないことを表し、それが素晴らしいという評価につながる。現在の「ありがとう」はその延長上にあるが、古文でその意味を取らない。
13・よし(よろし・わろし・あし)
■→「よし」良い→「よろし」まあ悪くない→「わろし」まあ良い→「あし」悪いという評価の順序になる。ケースによって「よし」は身分の高さや教養人格の高さを表す。
■例文で演習!
C 例文
光る君といふ名は高麗人のめで聞こえて、つけたてまつりけるとぞ。
蝶めづる姫君
ちればこそいとど桜はめでたけれ憂き世に何か久しかるらむ
明けゆく空のけしき、昨日に変はりたりとは見えねども、引き替えめづらしき心地ぞする。
はづかしき人の、歌の本末問ひたるに、ふとおぼえたる、われながらうれし。
はじめこそ こころにくくもつくりけれ、いまはうち解けて、
まめに思はむといふ人につきて、人の国へいにけり。
車にてまめなる物、さまざまにもて来たり。
人は、かたち・ありさまのすぐれたらんこそ、あらまほしかるべけれ。
昔よりすきずきしき御心にて、なほざりに通ひ給ひける所々、みな思し離れたなり。
思ふことの少しもなのめなる身ならましかば、すきずきしくももてなし・・世をも過ぐしてまし。
らうらうじく美しげに書き給へり。
あいぎゃうありて、言葉多からぬこそ、飽かず向かはまほしけれ。
見返り給へる面持ち・もてなしなど、おいらかにて
「あなかま」とまねき制すれども、女、はた知らず顔にて、おほどかにて居給へり。
ありがたきもの。舅にほめらるる婿。
よき人はあやしきことをことを語らず。
D 例文の解釈
光る君という名前は、高麗人がほめ申し上げて、付け申し上げたと言う。→文法:ぞ=係結結び省略
蝶を好む姫君
散るからこそ桜はいっそう素晴らしい。このつらい世の中に何が久しくとどまっていられるだろうか。→文法:か‐らむ=係結反語
明けていく元旦の空は昨日と変わっているとは思われないが、うって変わって新鮮な気持ちがする。
りっぱな人が、歌の上の句や下の句を尋ねた時に、とっさに思い出した時は、我ながらうれしい。
初めのうちは奥ゆかしくも取り繕っていたが、今は気を許して、→文法:こそ―已然形、=逆接
(女は)誠実に愛そうと言う人に従って、地方へ行ってしまった。
車で実用的な物を、いろいろと持ってきた。
人は、顔や姿が優れていることこそが望ましいであろう。
昔から色好みなお心で、かりそめにお通いになってい女性たちをみな思い捨ててしまわれたそうだ。→文法:なり=伝聞
考えることが少しでも人並みの身であったら、風流にもてなし、・・世をすごすであろうに。→文法:ましかば‐まし(反実仮想)
洗練されていてかわいらしい感じに書いていらっしゃる。
優しく温和なであって口数の少ない人はいつまでも向き合っていたい。
振り返りなさった表情や身のこなしなどは、おっとりしていて
「しずかにしなさい」と(周囲の者を)手招きして制するが、女はそれでも知らない振りをして、おっとりと座っていらっしゃる。
めったにないものは、妻の父に褒められる婿である。
身分の高い人は不思議なことを話さない。
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