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分類別古単no.37:視線

37■視線

受験生のための単語リストです。
ここでは「視線・見ること」に関係する語を集めてみました。
全体の50音索引はこちらへ

■次の語の意味をA→Bで確認!

A 単語リスト

1・ながむ
2・まもる(まぼる)
3・そばむ
4・あからむ

B 語義と語感

■見る
1・ながむ

➀ぼんやりと物思いにふける(眺む)
②歌や詩を口ずさむ(詠む)
2・まもる(まぼる)
➀見守る・じっと見つめる
②世話をする
■→まもるは、目守るという漢字をイメージ。じっとみつめること。そこから世話をするという意が派生する。その対語になるのが、■ながむ。遠くに目を遣ることだが、現在と違い、古語では、ただ遠くを見るのではなく、視線はそちらに向いているが物思いをしている状態。長雨と掛詞となることが多い。またもうひとつ、詠むという字に相当する漢詩や和歌を口づさむの意味には注意をしたい。

■視線を外す
3・そばむ
➀横を向く
②目を背ける
4・あからむ
➀わき見・よそ見
②浮気・心を移す
■→そばむ(側む)は、顔の側面の「側(そば)」+「む」で、横・側面に視線や体を向けるイメージ。恋の場面では、女が涙を隠して横を向くという場面によく遭遇する。■あからむ(あからめ=傍目)は、■あからさまなり(ほんのしばらくの間)と同根で、一時的に目をそらすことが、わき見する、男女関係においては浮気するの意味を持つ。男女の微妙な関係を表すものとして、視線は大事なものであろう。


■例文で演習!

C 例文

  1. 花の色はうつりにけりないたづらにわが身よにふるながめせしまに

  2. 業平が「唐衣着つつなれにし」とながめけん、三河国八橋にもなりぬれば、

  3. あるじ聞きてかの道に夜ごと人を伏せてまもらすれば、

  4. 明け暮れまぼりかしづくこと限りなし。

  5.  わりなく恥づかしければ、そばみておはする様体など、いとめやすく 見ゆれば、

  6. 上達部・上人などもあいなく目をそばめつつ

  7. 花の本には、ねじ寄り立ち寄り、あからめもせず、まもり

  8. もとのごとくあからめもせで、添ひゐにけり。

D 例文の解釈

  1. 春の長雨が降っている間に桜の花は色あせてしまったことだ。私の容姿もすっかり衰えてしまったことだ。むなしく物思いをしている間に。→文法:けり・な=詠嘆

  2. 「唐衣着つつなれにし」と口ずさんだとかいう三河の国の八橋にも至ったので、→文法:けん=過去伝聞

  3. 女の父が聞きつけて、男の通う道に毎晩人を潜ませて見守らせたので→文法:すれ(使役)

  4. 毎日世話をして大切に育てることは限りもない。

  5. たいそう恥ずかしいので、横を向いていらっしゃる様子などが、たいそう感じよく見えるので、

  6. 気にくわないものとして目をそむけそむけしては→文法:つつ=反復

  7. 桜の木の下には、近くににじり寄って、わき見もせずにじっと見つめて

  8. 男はもとのように浮気もしないで、女に連れ添っていた

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