見出し画像

分類別古単no.32:身分

32■身分に関連する語

受験生のための単語リストです。
ここでは「身分に関連する語」を集めてみました。
全体の50音索引はこちらへ

■次の語の意味をA→Bで確認!

A 単語リスト

1・あてなり
2・いやし
3・あやし
4・やむごとなし
以下、名詞群
5・きは(際・境→身分)
6・しな(階級)
7・うち(内裏:宮中・天皇)
8・おほやけ(朝廷・天皇)
9・うへ(天皇・奥方)
10・くもゐ(空・雲・宮中)
11・ただ人(臣下)
12・さと(実家)

B 語義と語感

1・あてなり(貴なり)
①身分が高い・高貴だ
②上品だ・優美だ
2・いやし(賤し・卑し)
①    身分が低い
②みすぼらしい・下品だ
■→1・2はセットで理解。漢字で書けば「貴なり」と「賤し・卑し」であり「貴賤」という熟語を覚えたい。身分の上下を意味する。古典では、身分の上下=人品の上下であることが多いので、それぞれ、貴=上品・賤=見苦しいという状態をも表す。■よしという単語も「よい」ということだが、同じ発想で、例えば「よき人」を身分の高い人の意に解釈する場合も多い。

3・あやし(怪し)
①不思議だ
②身分が低い
③見苦しい・粗末
■→本来の意味は、感動詞「あや」から、理解不能なものへの驚き(不思議だ)を表すが、貴族にとって庶民の生活、考えは理解不能だったことから、いやしと同じ身分が低い意味に、さらに下品、見苦しいの意味に用いられる。

4・やむごとなし
①気持ちが収まらない・捨てておけない
②並々ではない・貴重だ
③尊い・身分が高い
■→原義は「止む事無し」で、どうにもやめられない、捨てておけないの意から、②大切→③高貴の意味が派生していく。

名詞群については簡潔に記し例文は省略する。
5・きは=際・境→身分
■→境目のことであるが、そこから身分を表す場合がある。現在も「分際」という語がある。
6・しな=品→階級
7・うち=内裏:宮中・天皇
■→宮中・天皇。内裏は和文では「うち」と読まれる。多く、場所=人物であることも頭に入れておくとよい。
8・おほやけ=朝廷・天皇
9・うへ=天皇・奥方
10・くもゐ=空・雲・宮中
■→雲がある所が原義→空→遠く離れた所→人臣の及ばぬ宮中→都と意味が広がっていく。
11・ただ人=臣下
12・さと=実家
■→本来は人里の意だが、宮仕えの人にとっての実家の意で用いられることに注意。


■例文で演習!

C 例文

  1. 一人はいやしき男の貧しき、一人はあてなる男もたりけり。

  2. 四十ばかりにて、いと白う、あてにやせたれど、

  3. 世界の男、あてなるも、いやしきも、いかでこのかぐや姫を得てしがなてしがなと、

  4. (藤壺女御は)げに御かたちありさま、あやしきまでぞ(桐壺更衣に)おぼえたまへる。

  5. (飢饉のため)あやしき賤山賤も、力つきて、

  6. 六月のころ、あやしき家に夕顔の白く見えて蚊遣火ふすぶるもあはれなり

D 例文の解釈

  1. 一人は身分が低い男で貧しい者を、もう一人は身分が高い男を(夫として)持った。

  2. 四十歳くらいで、たいそう白く、上品でやせているけれど、

  3. 世間の男は、身分が高い者も、身分が低い者も、何とかしてこのかぐや姫を自分のものにしたい結婚したいと、→文法:てしがな=願望終助詞

  4. 実に容貌容姿が不思議なまでに桐壺更衣に似ていらっしゃる。

  5. 飢饉のために身分の低い木こり(猟師)も力尽きて

  6. 六月のころ、粗末な家に夕顔の花が白く見えて、蚊遣火が煙っているのも情趣がある

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?