分類別古単no.49:漢字を意識
49■漢字を意識する
受験生のための単語リストです。
ここでは「漢字を意識したい」語、他にもたくさんあるのですが、その一部を集めてみました。
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■次の語の意味をA→Bで確認!
A 単語リスト
1・こと:言・事・殊・異
2・しるし:印・験・兆・徴・証など
3・おろかなり:愚・疎
4・ならふ:習・倣・慣・馴
5・さはる:障・触
6・かる:離・枯
7・さうなし:双なし・左右なし
8・かげ:影・蔭
9・しのぶ:忍・偲
10・ながむ:眺む・詠む
B 語義と語感
1・こと→言・事・殊・異
→■「殊」は「特に」(特殊をイメージ)。大事なのは■「言」(言葉)。平仮名表記の場合、意外と気づかない。例えば、センター漢文でも「僕に送ることあるか」(餞別の言葉があるか)が出題された。
2・しるし→印・験・徴・証・標など
→■「徴」(兆し・前兆)にも注意が必要だが、まず■「験」(効き目・効果・霊験・御利益)は押えたい。神仏への祈りによって病気の平癒や生活の希望を願った昔の人にとって、その効果は大事だった。
3・おろかなり→愚・疎
→「おろか」が■「疎か」(おろそか・いい加減)でもあることを押える。
4・ならふ→習・倣・馴・慣
→■「慣・馴」(習慣となる・慣れ親しむ)が大事。「慣る・馴る」に継続の意の接尾語「ふ」が付いた。センター漢文においても「習ひとす」でこの意味が問われることがあった。
5・さはる→触・障
→「さはる」を「触る」と勘違いしやすい。今でも「支障があって」などと使うが、■「障る」(支障・差し支え)であることを押えたい。
6・かる→離る・枯る
→誤解を生むというよりは「離る」(離れる・途絶える)であることを知っておきたい。例文のように「離る=枯る」の掛詞として使われることも多い。「離る」は「あかる・さかる」とも読まれる。
・離るの例文:山里は冬ぞさびしさまさりける人めも草もかれぬと思へば(山里は冬が一段と寂しさがまさって感じられることだ。人の訪れも途絶え、草も枯れてしまうと思うと。)
7・さうなし→双なし・左右なし
→同じ読みだが、違う語である。■「双なし」は、並ぶ者がない、二つとないこと。■「左右なし」なら、ためらわない・簡単だ、左か右か、あれこれ考えないことである。
8・かげ→影・蔭
→「かげ」と言ったとき、光によってできる像をイメージするが、かがやく・かがみ・かぐや姫などと同源で、本来は光・日に関わる語。「星影のワルツ」という歌が昔あったが。➀光(星影・日影・月影)→②光によってできる像→③姿(光によって捉えられる形)・④蔭(庇護・「おかげさまで」でと今も使う)と考えたい。
9・しのぶ→忍・偲
→「しのぶ」には■「忍ぶ」(我慢する・人目を避ける)・■「偲ぶ」(親しむ・懐かしむ)があるが、むしろ「忍ぶ」の「人目を避ける」の意味を押えておくことが大事だろう。
10・ながむ→眺む・詠む
→■「眺む」は視線はそちらに向いているが物思いをしている状態。反対語は「まもる」。また「長雨」と掛詞となることが多い。もうひとつ、■「詠む」は歌や詩を口ずさむこと。最近は「眺む」より、むしろ「詠む」が入試で狙われる気がする。
■例文で演習!
C 例文
親のことなりければ、いとねむごろにいたはりけり。
おほどかにこと少ななるものから
よろづにまじなひ・加持などまゐらせたまへど、しるしなくて
かくの夢は、これ何のしるしにかあらむ。
帝の御使ひをば、いかでかおろかにせむ
かかるありさまもならひたまはず。
さはることありてまからで
園の別当入道はさうなき庖丁者なり
この事さうなくてやまむ、いと悪かるべし
幼き者にさうなく恥辱を与へられけるこそは
木の間よりもりくる月のかげ見れば心づくしの秋は来にけり
主君のかげを頼むほどの人は
玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする
ながらへばまたこのごろやしのばれむ憂しとみし世ぞ今は恋しき
花の色はうつりにけりないたづらにわが身よにふるながめせしまに
業平が「唐衣着つつなれにし」とながめけん、三河国八橋にもなりぬれば、
D 例文の解釈
親の言葉なので(その人を)たいそう心をこめてもてなした。
穏やかに言葉は少ないものの→文法:ものから=逆接の接続助詞
いろいろとまじないや加持などをしてさしあげなさるが効き目がなくて
このような夢は、これは何の前兆なのであろうか。
帝のご使者をどうしておろそかにできようか、いやできないだろう。
このような風景も慣れていらっしゃらず
支障があって行けませんで
園の別当入道はすばらしい料理人である。
このことが決着つかずに終わるのは、とてもよくないにちがいない。
幼い者に安易に恥ずかしい思いをさせなさったのは
木の間から漏れてくる月の光を見ると、さまざまにもの思いをする秋が来たのだなあ
主君の庇護を頼みにするくらいの人は
命よ、絶えるなら絶えてしまえ。このまま長く生きていれば、耐え忍ぶ力が弱って心に秘めた恋が人に知られてしまうと大変だから
もし生き長らえていたなら、このつらい今が慕わしく思い出されるであろうか。つらいと思っていたかつての日々が今は恋しく思われることだ。
春の長雨が降っている間に桜の花は色あせてしまったことだ。私の容姿もすっかり衰えてしまったことだ。むなしく物思いをしている間に。
「唐衣着つつなれにし」と口ずさんだとかいう三河の国の八橋にも至ったので、→文法:けん=過去伝聞
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