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2023/12/23 旅の記録①ー深夜の古本屋

ひさしぶりに、旅にいってきたのでその記録。

目的地は尾道にある深夜の古本屋、弐捨dB。営業時間が夜11時から翌朝3時くらいまでという一風変わった古本屋だ。東京で一緒に暮らしているJUNが以前からこの古本屋のSNSをフォローしていたこともあり、かねてから行ってみたい古本屋さんのひとつだった。というわけで、もしなにかの都合で当日閉まっていたらどうしようと不安もあったものの、この古本屋を旅の目的地に据えた。

当日、JUNが昼3時まで仕事だったので、尾道についたのは夜9時半くらい。ホテルにチェックインし、真っ暗な海をみながら、小さなテーブルにコンビニで買ってきたカップラーメンやらサンドイッチやら弁当を並べ、ベッドに腰かけて、腹ごしらえをすませた。まぶたが落ちてきそうになったけど、ここで寝たらさすがに笑えないので、コートを羽織って、いざ。

真っ暗ななか、寒い寒いいいながら、ひたすら歩いて10分くらいで、ほのかな灯りがみえた。あれじゃないか、とわたしがいう。灯りに誘われた虫みたいに近づいていけば、あの看板ガエルがいた。ああ、これだこれだ、とわくわくしながらなかにはいる。

なかにはいると、とてもいい香りがした。ちょうど調香師さんのイベントをやっていたのだ。わたしは、たいてい古本屋に行くとアドレナリンが出てくるので、落ち着け、と自分にいいきかせてから、本を物色しなければなららない。だから実際には二回目訪問くらいがちょうどいい気がする。

まあそれで、本を物色しながら、ちょっとずつなかへなかへ入っていく。ラジオがちょうどいい音量で流れている。座り心地のよさそうなふかふかの椅子もあった。どの椅子も違う種類だけどあう。なんかすべてがあってるな。ストーブの火もあたたかいし、最高だなと思いながら、本を物色していると、「お茶入れたらのみますか」と店主の方に静かに声をかけられた。

ちょっと予想外だったのでなんと続ければいいかわからなくなっていたら、「いただきます」とJUNがまえのめりに答えていた。この人にしてはめずらしい。店の方にとっては日常なんだろうけど、あたたかく迎えられている感じがして、居心地がよかった。本に囲まれてお茶を飲んで。ああ、これは何度もきたくなるなと思った。ちなみに、JUNはたいそうお気に召して、「ナンバーワンの古本屋」といい、ハイライトをかっこよく吸う店主に心をもってかれていた。

わたしは東京住みなのでなかなか難しいのだけど、年一で訪れたい古本屋だった。ちなみに本を買うと、薬の袋っぽいデザインのカバーをかけてもらえてこれも楽しい(もともと薬局だった建物を使っているからだろう)。こちらは古本屋の店主による著書。JUNはもうすでに読み、二周目を読もうとしていた。わたしはこれから。

藤井基二著『頁をめくる音で息をする』(本の雑誌社、2011年)

尾道という場所にあるのもよかった。

尾道はほんとうにいいところだったので、この旅の記録はもうちょっと続く。

お店のレジの前あたり

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