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それは、彼女の物語。~Her Story~

おすすめインディーズゲームレビューというのを忘れたころにやっていることを忘れていた。ということで久々にゲームレビューを書きます。

紹介するのはPCアドベンチャーゲーム、「Her Story」。ただ、このゲーム、全然新しいゲームではない。発売は2015年。7年経っていると考えると、移り変わりの激しいゲーム業界ではずいぶん古臭く感じられそうなものだが、むしろまったく新しい体験であった。昔山本さほの漫画で紹介されていて、いつかやろうと思っているうちに時が経ち、ふと思い出して探したらちょうど半額セールだった。これもゲームの神のお導きであろう(おおげさ)。

タイトル通り、まんま「彼女の物語」である。何せ登場人物はこの女性だけなのだ。プレイヤーがすることといえば、「検索枠にワードを打ち込む」ことだけ。アドベンチャーだからといって、画面をくまなくクリックしたり、コマンドをしらみつぶしに当たる必要はない。
そして、検索ワードを打ち込むと、それに関連したビデオが出てくる。映像はやや古い。一人の女性がしゃべっている様子を録画したものだとわかる。取り調べか事情聴取の映像のようだ。

繰り返すが、基本的にプレイヤーがすることは「検索ワードを打ち込み、出てきた映像を見ていく」だけ。ただし、何を検索するかによって引っかかる映像はもちろん変わる。しかも検索で閲覧可能なのは5つまでなので、なんにでも引っかかりそうなワードだと、15個ヒットとかになって、話を絞り込むのが難しくなる。


人物の名前や単語を打ち込んでいく

映像を見て、気になったワードを検索して、また出てきた映像を見る。映像は撮影された日にちが違い、「この話をしている時よりこちらが後だな」という程度はわかる。そして、それを繰り返していくと、頭に疑問が浮かんでくることだろう。この女性はなぜこんなことを話しているのか?さっき気になったワードが持つ意味は?断片的な情報を頭の中で組み立て、それらの仮説につながるワードを打ち込む。タイトルが持つ意味が分かった時、そして検索している「自分」が誰なのかを知った時、「ああ、そういうことか!」と膝を打たずにはいられないだろう。
このゲームに関しては、正直ネタバレを見てしまうと非常にもったいない。また実況動画でもダメである。自分で話を聞いて、自分で検索して気づくことを強く推奨する。


なぜ画像が粗いのかにも意味が

推理しつつ進めるゲームではあるが、ある程度気になったワードを打ち込んでいくだけでもだんだんと話は見えてくるし、実質2時間もあればクリアできる。それでも、このゲームの体験はなかなか類を見ないものだと思う。
パソコンをお持ちの方は一度「彼女の物語」に触れてみてはいかがだろうか。

…久々にまったくボケのない普通のレビュー記事を書いたな。商業誌くさい。

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